昨日の読売新聞に『あなたの株式投資がよりよい社会をつくる』というスローガンを20年間も掲げて資産運用会社を経営してきたエイミー・ドミニのことが報じられていた。最近、我国でも話題になりはじめた「社会的責任投資(SRI)」の考え方だ。企業と対話を求めるが、未解決の案件には自社のホームページで紹介しながら圧力をかける。コカコーラに空きビンのリサイクル向上を促し、P&Gに生産農家に配慮したコーヒー豆の購入をさせた実績があるそうだからたいしたものだ。儲けることが至上命題の株式市場に大きな理想をかかげて存在し、そこで成功している手腕はただものではない。
我々個人でも株式市場で社会的責任を果さない企業、社会に害毒を流している企業、消費者にウソをつく企業の株を買わないようにしたらどうなるか。市場に参加する個人資金だけでも決してその会社の株を買わなかったなら、株価は長期に低迷し、会社は悲鳴を上げるのは間違いない。そのような意識の投資家なら、その会社の製品も買わないようにするから、ささやかながら会社にダブルパンチを浴びせることができるのだ。
地球にやさしいとか、なんとかかんとかいいながら、有害物質を生産し、それを使用した製品は結局環境に負荷をかけることになるのに、それに頬かむりしている企業をあぶりだし、社会から締め出す運動につなぐことができるかも知れない。投資行動と消費行動によって社会にとっていい会社、ウソをつかない会社が存在しやすい環境を我々の手で作りたいものだ。
最近の事例で言えば消費者金融の大手の『武富士』、この会社の悪評は数々あるけれど、会長の指示で電話の盗聴をする等、幹部達の酷い無法ぶりが明かになった。ところがこのような場合でも、我国の株式市場では株価の低下は見られるものの、一過性の動きに終始し、会社にダメージを与えるまでに至らない。実際、この会社の株価もそのような経過をたどって、事件発覚前の水準に早くも戻っている。株価はその企業の成績表であるとするならばこれは残念なことといわなければならない。
翔年は『あなたの「○○○○」がよりよい社会をつくる』を信じるものである。
○○を「投票」としても、「消費行動」としても、「笑顔」としても成立つ、万能のキャッチフレーズはすばらしい。