January 27, 2004

あなたの「株式投資」がよりよい社会をつくる!

昨日の読売新聞に『あなたの株式投資がよりよい社会をつくる』というスローガンを20年間も掲げて資産運用会社を経営してきたエイミー・ドミニのことが報じられていた。最近、我国でも話題になりはじめた「社会的責任投資(SRI)」の考え方だ。企業と対話を求めるが、未解決の案件には自社のホームページで紹介しながら圧力をかける。コカコーラに空きビンのリサイクル向上を促し、P&Gに生産農家に配慮したコーヒー豆の購入をさせた実績があるそうだからたいしたものだ。儲けることが至上命題の株式市場に大きな理想をかかげて存在し、そこで成功している手腕はただものではない。
我々個人でも株式市場で社会的責任を果さない企業、社会に害毒を流している企業、消費者にウソをつく企業の株を買わないようにしたらどうなるか。市場に参加する個人資金だけでも決してその会社の株を買わなかったなら、株価は長期に低迷し、会社は悲鳴を上げるのは間違いない。そのような意識の投資家なら、その会社の製品も買わないようにするから、ささやかながら会社にダブルパンチを浴びせることができるのだ。
地球にやさしいとか、なんとかかんとかいいながら、有害物質を生産し、それを使用した製品は結局環境に負荷をかけることになるのに、それに頬かむりしている企業をあぶりだし、社会から締め出す運動につなぐことができるかも知れない。投資行動と消費行動によって社会にとっていい会社、ウソをつかない会社が存在しやすい環境を我々の手で作りたいものだ。

最近の事例で言えば消費者金融の大手の『武富士』、この会社の悪評は数々あるけれど、会長の指示で電話の盗聴をする等、幹部達の酷い無法ぶりが明かになった。ところがこのような場合でも、我国の株式市場では株価の低下は見られるものの、一過性の動きに終始し、会社にダメージを与えるまでに至らない。実際、この会社の株価もそのような経過をたどって、事件発覚前の水準に早くも戻っている。株価はその企業の成績表であるとするならばこれは残念なことといわなければならない。

翔年は『あなたの「○○○○」がよりよい社会をつくる』を信じるものである。
○○を「投票」としても、「消費行動」としても、「笑顔」としても成立つ、万能のキャッチフレーズはすばらしい。


この記事へのトラックバックURL

この記事へのトラックバック
今朝の新聞の経済ニュースからピックアップしたい。 「環境素材6800種 ソニーが指定 -代替品移行、調達先に促す」と日経9面のトップ記事。ソニーは人体に悪影響のあるカドミウムや鉛を含まない樹脂や塗料など6800種類の素材をリストにまとめ、部品メーカーなど調達先に情
ソニーとホンダと西武鉄道と【もの言う翔年】at March 01, 2004 22:09
この記事へのコメント
naoさん、コメントありがとう。
社会的責任投資を研究されているのですね。大変難しい問題だと思いますが、キットこの分野の投資パフォーマンスはこれから上るでしょう。投資家は勿論、企業も年金も無視できない大きな世界的な流れができてくると考えています。
頑張ってください。
ぼくはゴミみたいな投資家ですが、主に短期(1日〜3ヶ月)で行動しています。どちらかというと株価のオーバーシュートや材料の織りこみ不足を捉えるやり方です。
昔は長期投資で確実に報われましたが、今は長期の方がリスクが高いような気がしています。
Posted by ユリウス at February 07, 2004 11:51
始めまして。興味深く読ませて頂きました。私は社会的責任投資を研究している者です。
投資と消費を組み合わせれば、かなり大きな影響を企業に与えることができると私も考えてはいるのですが、なかなか理解を得られないものです。
パフォーマンス自体も悪くないですし、年金基金がこのアプローチをとってくれると、日本でも一気に普及するとは思います。
翔年さんの言う『あなたの「○○○○」がよりよい社会をつくる』、私も万能のキャッチフレーズだと思います。

Posted by nao at February 07, 2004 03:51