五回戦の相手は中国人の若い女性、Gina Shin だった。これまでに翔年はUSオープンで通算28人と対戦しているが女性ははじめてだ。対座して打ち始めるときに、改めて今朝起きたときに心に決めたことをもう一度思い出して確認した。
「2勝2敗の五分にの星になったので、多分今日の相手は同格かそれ以上だろう。
相手のことより、自分に忠実に実力を出し切って打とう、それで負ければ仕方がない。
冷静にアグレッシブに打とう。」
最初のチャンスを逃して苦戦に陥ってしまった。逃したチャンスは大きい。後悔の気持が湧く。相手は優勢を意識したようだ。100手ほど打ち交して相手はチョッと打ち過ぎる傾向があり、巧手もでるが悪手も打つタイプと見た。それで十分時間をかけて無理な勝負手はは打たずにジワジワ追いこむ作戦をとった。優勢を意識している相手にとって一番嫌な戦法のハズだ。
大きなコウをしかけたタイミングが良かったようで、コウに勝って相手を謝らせることに成功し、一気に差が縮まった。ここからはもう夢中だった。一進一退の攻防戦。
相手も自分も持てる力を出し切ったように思う。
僅かに追いぬいたような気がしたが、作り終るまで勝ち負けは分らなかった。終局の手続をして半目勝ち、相手の"You win"の声を聞いた時はうれしかった。
チョッと無愛想で緊張きみのGinaだったが、席を立つときに初めてニッコリ笑った。