December 03, 2014

従軍慰安婦の朝日の誤報  -朝日たたきで終わらせてはならない! 

 朝日新聞の従軍慰安婦誤報について、激しかったメディアの朝日たたきも漸く下火になってきた。この時期だからこそ、国民はもう一度冷静に、この誤報によって我が国が蒙ったダメージの大きさを認識し、これをどのようにして解決すべきか真剣に考えるべきではないでしょうか?


文藝春秋十一月号001
 翔年が尊敬してやまない塩野七生さんが「文藝春秋11月号」に「朝日新聞叩きを越えて」というエッセイを書いておられる。朝日の誤報は国内をはるかに越えて国際的な解決国難な事態が今も継続しているのであるから、メディアも国民も、もう少し大きな視野を持って長期にわたり継続して取り組むべき問題であるということを強く訴えたい。



(1) 朝日新聞は先進国のクオリティペーパーと提携関係にあった。
塩野さんのエッセイより引用します。
 朝日新聞の論調が他紙に比べて海外への影響力が強かったのは、外国人記者たちが朝日の記事を読み、良質だから信用おけると判断したからではない。日本では朝日新聞だけが、先進諸国のクオリティ・ペーパーと提携関係にあるからだ。ニューヨーク・タイムスやロンドン・タイムス、イタリヤではコリニレ・デッラセーラの各誌だが、販売部数では二位や三位でも報道とそれに基づいた論調の質ではナンバーワンと自負しているのが、これらのクオリティ・ペーパーの記者たちである。それで、自分達と提携しているからには朝日もクオリティ・ぺーパーにちがいなく、その朝日に載った記事ならば頭から信用して紹介してきた、というのが実情であった。

 → このことでハッと気づいたことがあります。翔年はたまにネットで「ニューヨーク・タイムス」の記事は見ますが、なぜか朝日寄りの記事というか、朝日新聞と同じ視点の記事がよく載っているなぁと感じたことでした。読売新聞や産経新聞の視点の記事は皆無でしたから、この問題に関しては絶望的な気持ちに陥ったことが何回かあったのは事実です。

→ 朝日がどれほど海外に誤報をまきちらしていたか裏付けるために、朝日新聞の海外提携先を調べました。
海外特約新聞:
ニューヨーク・タイムズ(米)、タイムズ サンデー・タイムズ(以上英)、ルモンド(仏)、東亜日報(韓国)、エルパイス(スペイン)、コリエレ・デラ・セラ(イタリア)、バンコク・ポスト(タイ)、ストレーツ・タイムズ 聯合早報(以上シンガポール)、タイムズ・オブ・インディア(インド)、 論拠と事実 ノーボエ・ブレーミャ ニェザビシマヤ・ガゼータ(以上ロシア)、ジュート・ドイッチェ・ツァイトゥング(ドイツ)
内外契約通信社:
AP(米)、 ロイター(英)、AFP時事(仏)、イタル・タス(ロシア)、 共同通信 時事通信 中国通信 新亜通信 朝鮮通信 ラヂオプレス
→ クオリティ紙を読んだ質の高い各国の読者は朝日の誤報を信じたと思われます。これはえらいことです。朝日たたきを国内でいくらやっても、彼らの誤認識は簡単にくつがえりませんから。

(2) 他紙は国際的な発信力が全くなかったのではないかと翔年は疑う。
根拠は先月28日付けの読売新聞のこのお詫び記事です。ちょっと長いですがご辛抱ねがいます。
 いわゆる従軍慰安婦問題の報道で、読売新聞発行の英字紙「デイリー・ヨミウリ」(以下DY、現ジャパン・ニューズ)が1992年2月から2013年1月にかけて、「性奴隷」(sex slave/servitude)など不適切な表現を計97本の記事で使用していたことが社内調査で明らかになりました。
 読売新聞は、誤解を招く表現を使ってきたことをおわびし、記事データベースでも該当の全記事に、表現が不適切だったことを付記する措置をとります。本日付ジャパン・ニューズにもおわびを掲載し、ウェブサイト(the‐japan‐news.com)で対象記事のリストを公表しています。
        ◇
 慰安婦問題に関する読売新聞の翻訳やDYの独自記事で、「性奴隷」にあたる単語を不適切に使用していたものは85本あった。「慰安婦」(comfort women)という表現が関連知識のない外国人読者には理解困難だったため、外国通信社の記事を参考に「性奴隷となることを強制された慰安婦」などと、読売本紙にはない説明を、誤った認識に基づき加えていた。
 たとえば97年8月30日付の1面コラム「編集手帳」は、「『従軍慰安婦』などの記述について」としているのに、DYの英訳記事では「the issue of ”comfort women”, who were forced into sexual servitude by the Imperial Japanese Army」(大日本帝国陸軍によって性奴隷となることを強制された慰安婦の問題)と記述した。
 「性奴隷」という言葉は用いていないが、慰安婦を「日本軍によって売春を強要された女性たち」などと定義し、政府・軍による強制を客観的事実であるかのように記述した記事も、12本あった。93年に発表された河野談話について、当初は「官憲等が直接これ(慰安婦募集)に加担したこともあった」と正確に訳していたが、その後、「軍当局による強制連行を認めた」と単純化し、誤解を招く表現を用いたこともあった。

→ デイリー・読売(読売の英字新聞、現在のジャパン・ニューズ)のこの体たらくをみなさんはどう思いますか? 朝日をあれだけ攻撃していた読売が、こともあろうに国際版(英字紙)では朝日と同じ視点に立った記事を同じ概念の用語をつかって長年に亘って掲載していたのです。冗談ではありません。ハッキリ言えば、読売も世界に向かって朝日新聞と同じ視点で報道していたということです。これはもう国難ともいう事態です。日本の有力な二つの新聞が同趣旨の記事を発信し続けていたのですから。報道の自由とか、なんとか大きな原則をかざす新聞社ですが、事実を確認し、自分達の考えをキチンと世界に向かって発信できる文章表現力(英語力)を持っていないのです。
 日本語で発行する日本の新聞社の宿命と言ってしまえばそれまでですが、自立した思想の持ち主なら、例え英語力が多少貧弱であったにしろ、相手の使う言葉をそのまま使って、間違った内容の記事にすることは絶対にないはずです。あってはならない誤用だとおもいます。
 他紙やNHK等の海外向け放送など、我が国のメディアが一体どのような形で従軍慰安婦問題を海外に向かって発信していたのか大変気になります。翔年の知る限り、朝日バッシングの先鋒に立っていた産経新聞の記事や論調が、海外の新聞で取りあげられたことはありませんから、国内で、やいのやいのと朝日を叩いても、海外メディアから無視されていたのでは、効果はたかが知れています。


 ちょっと、横道にそれました。塩野さんの提言に戻ります。

塩野七生
(3) 関係者全員の国会招致が今回の騒動を日本の国益に転化させる好機
 一連の朝日叩きでは言及されることの少なかった関係者全員の国会招致だが、この実現こそが今回の騒動を日本の国益に転化させる好機と思う考えは変わっていない。
 国会招致は。朝日を非難する場ではなく、真相を究明する場であることを肝に銘じておくことだ。でないと、これまた日本の右傾化の証拠とされかねない。

→ 塩野さんのこの提言は素晴らしいと思います。その上彼女は関係者全員の国会招致とTV放映は一石四鳥になると言っています。傾聴しましょう。

 
第一にこれまでの中国や韓国からの非難、日本は歴史に向かい合っていないという非難に対し、ちゃんと向かい合っていますよ、と言える機会になる。国会招致をしつこく続けていくことが、何よりも「向かい合う」ことになるのだから。

→ 戦後のドイツは「ナチスの悪業」をしつこく今も追い続けているが、このことがドイツの反省の深さをPRし、どれだけ国際的評価を高めることになっているか、思い出していただきたい。

 第二は、朝日側も招致には積極的に応ずるだろうという期待。朝日が恐れるのは、単なる部数の減少よりもクオリティの高い読者の離反にちがいない。

→ 翔年は朝日がここまで事態をキチンと把握してるかいささか疑問に感じますが、協力度あいは朝日新聞社の真剣度のリトマス試験にはなると思います。

 第三は当時の政治担当者全員も招致するのだから多くは自民党の政治家になるが、現在は野党の民主や社民に属す人も招致されるのは当然だ。それで日本の一般大衆も初めて、ハト派とされてきた政治家たちを一堂のもとに見ることになる。彼らの表情、言い方、それによって顕にされる彼らの考え。これはタカ派ハト派を問わず日本のリーダーたちへの、有権者の冷静な判断力を高める役に立つはずである。

→ 実に具体的で、役に立つ提言ですね。

 
第四には、招致される人たちに質問する役を荷うことになる国会議員たちの能力の向上への期待。(中略)
 招致場には記者席をもうけ、外国人記者の傍聴おおいにけっこう、でいくべきである。彼らとて何だかしつこく続けている国会招致には好奇心を刺激され、聴きにくる人も増えるかもしれない。継続は力なり、なのだ。そうなれば初めて、口下手が常の日本の政府当局者たちの拙い発信などよりは百倍も有効な、日本への評価の改善になるだろう。

→ マキャベリが友達の塩野さんのこの提言、流石ですね。もろ手を挙げて賛成します。





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