January 05, 2014

どちらが恐いか?  現状のネオニコチロイド系農薬と被爆100ミリシーベルト/月  

 「科学は狂信と迷信に対する最良の解毒剤である」  -アダム・スミス(経済学者)-

 本来、科学的知見に基づいて「考察」され「判断」され「対処」されるべき事柄が、そうではなくて政治的集団の圧力や扇動家によって大衆が右往左往することで、マスコミに取り上げられるかどうかで、本来国民の命と財産を守る使命を持つ国の施策がゆがめられているのを見るのはつらい。すでに我が国はそういう国になっているようです。


 最近のネオニコチロイド系農薬の場合を考えてみたい。例によってマスコミ報道を時系列でならべてみます。

2013/09/23(毎日新聞)
 
「(松阪市の県病害虫)防除所は県下全域に病害虫発生予察注意報を発令し、予防を呼びかけている」
 「防除所によると、大量発生の兆しがみられるのは、主にチャバネアオカメムシとツヤアオカメムシ。8月中旬以降増加し、松阪市と御浜町の県施設内の調査地点で平年の5・7〜2・5倍の発生が確認されている。今後は果樹園の被害が拡大する可能性がある。(中略)カメムシの早期発見に努め、農薬で防除してほしい。」

→ 最近の科学的知見と全く正反対に、人間の神経系統に悪影響をおよぼす可能性には目をつぶって、カメムシを退治して、果物の被害を守るよう呼びかけている。もっと農薬をバラまけと。
 県の害虫防除所としては致し方ない措置だとしても、県や国の大所高所からの判断は、この時もこれ以降も全然ありません。国民に向かって何のコメントもしません。

2013/12/18(AFPBBNews & ライブドアニュース)
  「欧州食品安全機関(European Food Safety Authority、EFSA)によると、ネオニコチノイド系殺虫剤の「アセタミプリド」と「イミダクロプリド」は人間の発達中の神経系統に影響を及ぼす可能性があるという。
 また、EFSAは許容されるばく露に関する現在の指針の一部は、発達神経毒性を防ぐための十分な保護策にはならない可能性があるため、引き下げるべきとの結論に達したとも述べている。」

 → ネオニコチノイド系殺虫剤をめぐるこのような関連性が専門機関から指摘されるのは今回が初めてでした。
 ただし、EUは昨年から、ミツバチ個体数の劇的な減少の原因となっており、食用作物の受粉を脅かしているという懸念から同系殺虫剤3種の使用を禁止していた。予防原則による好判断です。このような先見性ある政策を我が国の省庁にも望みます。
 我が国でもミツバチの大量死は確認されているのに何故か何の対策もとられていません。農薬は野放し状態。

2013/12/28(毎日新聞の地方版)
 東日本大震災からの農業の再生と生態系の復活をテーマにした「3・11北上地域農業復興会議勉強会」が栗原市志波姫で開かれ、NPO法人「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」(東京都)の水野玲子理事が「新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす」の題で基調講演した。
 水野理事によると、ネオニコチノイド系農薬は有機リン系農薬に代わる殺菌、殺虫剤として1990年代から国内を含め世界的に普及。農薬メーカーは「低毒性」とするが、欧米で相次いだミツバチ大量死の最大の関与要因とみなされている。近年は赤トンボやスズメなど他の生き物の大幅減少にも関わっているとされる。
 → AFPニューと同趣旨のことが、10日遅れて毎日新聞の地方版に掲載されました。
 我が国ではネオニコチノイド系農薬ははカメムシ防除など水田、果樹、野菜栽培で広く使われている。農水省は現在でも使用法や基準を守れば問題ないとする立場である。翔年は大問題ありと考えます。

2014/01/02 21:00(共同通信 & 日経Web)
 ミツバチへの悪影響が懸念されているネオニコチノイド系農薬のうち2種類が、低濃度でも人間の脳や神経の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるとの見解を、欧州連合(EU)で食品の安全性などを評価する欧州食品安全機関(EFSA)がまとめたことが2日、分かった。(中略)
 EFSAはEU各国にアセタミプリドのADIを3分の1に引き下げ厳しくすることなどを勧告。イミダクロプリドは現在のADIで問題ないとして引き下げる必要はないとした。また他のネオニコチノイド系農薬を含め、子供の神経の発達に対する毒性の研究を強化し、関連データを提出するよう求めた。
 日本の東京都医学総合研究所などは2012年に発表した論文で、2種類の農薬は微量でも脳内のニコチン性アセチルコリン受容体という物質を興奮させる作用があることを、ラットの培養細胞を使った実験で確認。人間の脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があると指摘した。この研究は、今回のEFSAの見解でも重視された。
→ EUと違って、我が国の場合は研究の成果が直ぐに規制官庁によって判断され、国民のために生されるように機能していない。


2014/01/03(共同通信 & 沖縄タイムス)    
 ミツバチへの悪影響が懸念されているネオニコチノイド系農薬のうち2種類が、低濃度でも人間の脳や神経の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるとの見解を、欧州連合(EU)で食品の安全性などを評価する欧州食品安全機関(EFSA)がまとめた。
 その2種類とはアセタミプリドとイミダクロプリド。EFSAは予防的措置として、アセタミプリドについて1日に取ることができる許容摂取量(ADI)を引き下げるよう勧告した。
→ おとそ気分の時期にしては、大ニュースです。人間の脳や神経の発達に悪影響があるのですから。ですが、フランスのAFPの記事から半月遅れのニュースです。それにたいして、 農水省からコメントはありません。



今までの翔年の判断と今後の取り組み
1 翔年は農薬については色々と問題が多いと感じて、1993年より有機農業を推進する希望をお持ちのH氏を応援してきました。当初6反に過ぎなかったH氏の「丹波ハッピー農園」は、今では3町歩以上の水田で無農薬米をご夫婦で生産をしています。無農薬、無施肥の農業はコストが高くつくので、ハッピー農園のお米の値段は生産者が決めます。当初から消費者は生産者の言い値で購入するというやり方で、H氏をサポートしています。

2 ミツバチの大量死について、このBlogの記事
2009/09/09 『ミツバチの減少、携帯電話の電波が原因か?』
 タイトルは「電波が原因か?」としていますが、当時の翔年の独自判断で記事中では疑わしいのは「 携帯電話の電波」と「 除草剤(農薬)」とをあげています。「ダニ」、「ウイルス」、と「気候変動」説は否定し、上の二つの研究成果を待ちたいと書いています。5年前の記事ですから、推論はまぁまぁと認めてください。(笑)

3 環境問題にたいする中国政府の誠意のない態度に関する情報収集。
 過去に鳥インフルエンザ問題ではカラスの勝手でしょと言わんばかり、毒入りの餃子では日本で注入されたと強弁した。また最近、PM2.5汚染で騒いでいる日本や韓国に対して、中国の排出物は無関係、両国は自分の国の排出物で騒いでいると環境問題の責任者がコメントを出している。
 日本のメディアはこれをほとんど伝えないし、政府も毅然としたコメントを出さない。情けないことです。
 今後、この種の中国関係の情報は、ネットや独自の情報源によって少しでも多く収集したいと考えています。いずれ、地球環境問題として、農薬や工場排出物質による汚染問題、食品の安全問題が人類にとっての大問題になるのはまちがいのないことですから。



 信を好みて学を好まざれば、其の蔽や賊なり。   -論語-
(信を好んで学を好まないと、条理をわきまえずに物事をやぶり損なう弊害に陥る)
 この訳だけでは意を尽くさない恐れがあるので、もう少し敷衍します。
 学問教養による調整を経ない限り、盲目的な信義は過度の深刻な弊害を生む。孔子は「信」という徳目でさえも、広い見識がないと美徳とならないと言っています。

 ネオニコチノイド系農薬のように、現在も大量に生産されており、世界中の果樹園や農場に今も大量にバラまかれている科学物質と自然災害が原因で事故を起こした原子力発電所から飛散した放射性物質と、どちらが自然環境、ひいては人間に悪影響を及ぼすかは、データを駆使して十分研究され、評価されなければならないと思います。そして、安全に関してはあくまでも科学的知見に基づいて、知的に判断されるべきと考えます。例え異質なものであっても、どちらがどのくらい人類の健康や環境に悪影響があるのかを推量できなければ、有効な対策はとれないのですから。
 (2013/04/26の「確率を使わない損失余命について -放射線リスクを寿命で表す」を読んでいただければ、だれでもおおよその見当はつくと思います) 

 我が国で放射能汚染に対して風評被害をおこしてまで大騒ぎする人達が、上の農薬問題では何の行動もおこさないのは不思議です。決して騒げといっているのではありません。あれか、これかというあまり賢くない思考法ではなくて、あれも、これも俎上に乗せた上で、科学的に総合判断をして欲しいと翔年は願っています。

(参考)
アセタミプリド (acetamiprid) は、ネオニコチノイド系殺虫剤であり、昆虫神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経の興奮とシナプス伝達の遮断を引き起こすことで殺虫活性を示す。






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