December 31, 2013

興味つきない歴史小説"HHhH" -ハイドリッヒとはいかなる男だったか-

 この人をくった書名、HHhH"とはドイツ語のHimmlers Hirn heist Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリッヒと呼ばれる)の略語だという。こういう凝ったというか、訳のわからない題名の小説はたいていつまらないものが多い。ところがこの書はまったく違った。今年度の掉尾の一振だった。



 著者のローラン・ビネはフランスの新人作家で、この小説は「ゴンクール賞最優秀新人賞受章作」。ユダヤ人大量虐殺の首謀者、「金髪の野獣」と呼ばれたハイドリッヒ、彼を暗殺すべく、ロンドンに亡命していたチェコ政府がプラハに二人の青年を送り込む。歴史的背景にはナチの残虐さとそれと闘う抵抗運動の歴史がある。
 登場人物はすべて実在の人物、実名で物語りは進行する。物語の半ばに「類人猿作戦」と呼ばれるハイドリッヒ暗殺のためにパラシュート部隊員の二人の青年「ヨゼフ・ガプチーク」と「ヤン・クビシュ」が登場してから、終盤のクライマックスまで息もつがせない迫力である。
 二人の青年のプラハでの行動を支援する名もないチェコの人達のけなげな善意や献身にも心打たれた。家族を危険にさらす心配があるにも拘わらず、抵抗運動を支援した人とその家族のほとんどは命を落とすことになった。著者が「歴史だけが必然だ。どんな方向からも読めるけれど、書き直すことはできない」という言葉が胸に迫る。殺された人は蘇ることはないのだから。彼らにたいする敬意と弔意を忘れずに記しておきたい。




いつも『もの言う翔年』を読んでくださりありがとうございます。
お陰さまで「囲碁」も「政治評論」のジャンルもランキング上位に入っております。
コメントをいただいたり、ランキングがそこそこにとどまっているのを励みにBlogを書いております。
お暇なときに見てくだされば嬉しいです。

にほんブログ村 その他趣味ブログ 囲碁へ
にほんブログ村


にほんブログ村 政治ブログ 政治評論へ

にほんブログ村



この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/mtmt0414/52353118