January 07, 2013

ゴロウニンの日本観察 -1811年から3年間、函館で幽閉されたロシアの艦長-

  昨年の9月29日のエントリーで「国家の品格、国民の品位 -中国の尖閣諸島に対する発言と態度-」を書いた。その後段に、ロシア人のゴロウニンとピヨートル・リコルド、日本人の高田屋嘉兵衛の3人にまつわる、品格ある人達のちょっといい話を書いた。

 このエントリーはその続きというほどのものではありませんが、ゴロウニンが函館に3年間幽閉されていた時の「ニッポン幽囚記(艦長ゴロウニンの手記)」についてです。幽閉とはいえ、日本人と直接に接触してゴロウニンは日本人やニッポン語をどう理解していたかが分る興味深い記述ですので、長くなりますがご紹介します。

 「日本政府としては、国民が自国の文明だけで満足し、自国民の頭で発明したものばかりを使用することを求め、他国民の考案を採りいれることを禁止して、外国の学問、芸術とともに異国の風俗が入りこんで来ないようにしている。(中略)
 もしこの人口多く、聡明犀利で模倣力があり、忍耐強く仕事好きで、何でもできる国民の上に、わが国のピヨートル大帝ほどの王者が君臨したならば、日本の胎内にかくされている余力と富源をもって、その王者は多年を要せずして、日本を全東洋に君臨する国家たらしめるだろう。(中略)
 たとえば隣国人の襲撃が頻繁にくり返されると、むろん日本人は少数の闖入者のため多数の国民が不安に陥るのを防ぐ方法を講ずるであろう。それが洋式の手本に従って軍艦を建造するきっかとなり、それらの軍艦が集まって海軍となり、やがては恐らくこの方策の成功によって人類の絶滅に役立つ他のヨーロッパ式の文明的方法をも採用することとなり、遂にはわが国のピヨートルほどの天才がいなくても、情勢のおもむくところ、あらゆるヨーロッパの発明が日本で使用されるに到るでであろう。(中略)
 したがってこの正当で正直な国民をからかう様なことはしてはならぬ、と私は思う。」


 ゴロウニンは3年間の幽閉中に、日本の未来を見通したようなことを書いているのに感心しました。明治維新後のわが国はこの予言とおりになったのではなかったでしょうか?

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 杉本つとむ著「西洋人の日本語発見 -外国人の日本語研究史」を渉猟していて、上の箇所にぶちあたって驚きました。
 またゴロウニンは日本語についてこんなことも言っています。

日本側ではわれわれが日本文字の書き方を勉強することを禁じたので、日本の文法を学ぶ方法はなかったが、日本人から聞いたところでは文法はさまで難しくはない様子であった。と言うのは名詞も動詞も変化が極めて少ないからである。名詞の変化はそのあとに付ける助詞まだは小詞を使っておこなう。動詞の変化は性も数も法もなく、ただ時だけにすぎず、その時も日本語では過去、現在、未来の三つしかなく、あとはたとえば『前に、間もなく』などのように状況語を加えてあらわすのである。」

 
 当時の日本語研究はオランダ人だろうと思いこんでいましたが、どうやらロシア人も幽閉中、禁じられていたにも係わらず、学んでいたのではないかと疑われるほど日本語の特徴を正確に記述しているのに驚きました。

ゴロウニン、恐るべし!
ロシア人恐るべし!


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この記事へのコメント
ロシア語の複雑さから見て日本語を比較したのでしょうか、、、
Posted by っっt at February 16, 2015 16:20
つつtat様

日本人が英語の難しさを述べる時、何語と比較すると思います?
日本語と比べるのは当たり前のことではないですか?
ゴロウニン艦長は知識人ではありますが、比較言語学者ではありませんから。
Posted by ユリウス at February 17, 2015 01:48