November 25, 2012

語源の快楽(27) -ベラドンナ(Belladonna)の秘密

 このあいだ、べラドンナ(Belladonna)がイタリア語で「美しい婦人」を意味すると知って「あれっ」と思いました。実はベラドンナは猛毒を持っている植物であることが記憶の端っこにありましたから。

ベラドンナ(オオカミナスビ)
ベラドンナ
 よせばいいのに、美しい婦人も同席されているある昼食会の話題にこれを提供した。そして、「男から見たら美しい婦人は猛毒と同義なのでしょうね、きっと。同じ語源的意味を持っているに違いありません」と口走ってしまった。例の知ったかぶりというヤツです。でも、この推定にはかなり自信は持っていたのですが……。日本には昔から

「色白は七難隠す」

とか

「米の飯と女は白い程よい」

などという、今時大きな声では言えない諺もあることですから。(笑)


 そしたらさっそく、K.Y.さんから、正しい語源的解釈のメールが送られてきました。どうやら、翔年の負けらしいです。



 秘密のベールを剥いで、ベラドンナ(belladonna)を整理してみますと

1 研究社の新英和中辞典によると
【植物, 植物学】 ベラドンナ,オオカミナスビ 《ナス科の有毒薬用植物》、ベラドンナ剤、《イタリア語》美しい婦人の意

2 K.Y.さんのメールでは
※ナス科の多年草。花は暗紫色。全体にアルカロイド のヒヨスチアミンを含み有毒。葉と根を鎮痙(ちんけい)剤 ・鎮痛薬や散瞳剤に用いる。西アジア・ヨーロッパに分布。名はイタリア語で美女の意で、目をぱっちりさせるために用いられたことから。

3 Wiqipediaによると
概要:ベラドンナは西欧で自生する多年草で、最近では北アフリカおよび西アジア、北アメリカの地域で帰化している。自生している場所は山間の日陰などで、湿気が多く、石灰質の肥えた土壌の場所で群生しているのを見ることができる。早春に葉に包まれた新芽を出し、全長は 40 cm から 50 cm 程度、最高で 5 m ほどにもなる。花期は夏ぐらいまでで、くすんだ紫色の花を咲かせる。この花が過ぎた後に緑色の実をつけ、1 cm ほどに膨らんで、黒色に熟していく。この実は甘いといわれるが、猛毒を含んでいるため絶対に食してはいけない。
名前は、イタリア語で「美しい女性」を意味する bella donna の読みそのままで、古くに女性が瞳孔を散瞳にさせるための点眼薬として、この実のエキスを使用したことに由来する。

毒性と薬用:全草に毒を含むが、根茎と根が特に毒性が強い。また、葉の表面にも油が浮いており、これに触れるとかぶれ(ひどい場合は潰瘍)がおきる。主な毒の成分はトロパンアルカロイドで、摂取し中毒を起こすと、嘔吐や散瞳、異常興奮を起こし、最悪の場合には死に至る。これは、ハシリドコロ属のハシリドコロなどと同様の症状である。ベラドンナのトロパンアルカロイドの成分は、ヒヨスチアミンやアトロピン(l-ヒヨスチアミン)、他にノルヒヨスチアミン、スコポラミン等が含まれる。これらの物質は副交感神経を麻痺させるため、先述のような症状が起こるのである。また、ウサギなどの多くの動物(鳥類と鹿)はベラドンナを食べても食中毒を起こさないのだが(犬猫は食中毒を起こす)、ベラドンナを食べた動物を人間が食べて死に至ってしまう場合がある。
ただし、用法・用量を守って使用すれば有用であり、成分の強い根茎と根はベラドンナコン(ベラドンナ根)という薬品として日本薬局方にも収められている。ベラドンナコンに含まれるアトロピンは硫酸アトロピンの原料になり、ベラドンナコンの成分を水またはエタノールに浸出させたものはベラドンナエキスと呼ばれる。


というようなことで、翔年の推理は見事なハズレでした。くやしいので、藁をも掴む思いで、ビアスの「悪魔の辞典」を調べてみました。そしたら、なんとこうあるではありませんか。

4 悪魔の辞典によると
イタリア語では「美しい婦人」の意、英語では「猛毒」の意。この二つの国語が本質的には同一であることを物語る顕著な一例。
 
 ビアスの推理は翔年の類推とドンピシャでした。因みにベラドンナの花言葉は「沈黙」だそうで、これ以上の多言は慎みます。



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