March 17, 2012

弱きものよ、汝の名は女なり -ちょっと意味がズレている-

 翔年が思っているだけかも知れませんが、ネット友達「とりぶう」さんがいる。左欄の好きなBlogの「とりぶうさんの笑えるエッセイ」の著者です。彼女のBlogの正しい題名は『ショートショート とりぶうの読むコント〜宮古島』というちょっと長いもの。必ず笑えることを翔年は保証します。(コントだから当たり前)
 たまに、面白くなくて笑ってしまうこともありますが(笑)、これも彼女のテクニックの一つだと思われます。何故って、笑いには「他人を犠牲にして「突然の優越感」で生じるケースが多いですが、そうではなくて、笑わせてもらう期待を外されて生じる笑いも(期待の喪失感)ある訳です。その他にも、彼女は笑わすための手練手管に長けていらっしゃるから、まぁ一度こことりぶうの読むコントを訪れて体験してみてください。

 さて、3月13日の彼女のBlog「意外にも女性」にシェイクスピアのハムレットから以下の台詞が引用されて、女は「か弱き性」か「恐き性か」が面白おかしく論じられていました。

『弱きものよ、汝の名は女なり』  - ハムレットの台詞 -

 引用自体は勿論、彼女のBlogの内容そのものにも、何の問題もありません。ただ、この台詞がわが国においてはシェイクスピアの意図した意味とちょっとズレて解されて、いろんなところに引用されているのが翔年としては気になるところでした。

 この台詞は「ハムレット」の第一幕第二場でデンマーク国の王子ハムレットの長い台詞の中にあります。ハムレットの母親(ガートルード)は夫(つまりハムレットの父)が殺されるとすぐに父の弟(ハムレットの叔父)に心を動かし、再婚してしまう。それを嘆いた王子の独白なのです。

『弱きものよ、汝の名は女なり』(Frailty, thy name is woman. )
 これだけを取り出すと「女性はか弱い」といたわっているように聞こえます。ところがドラマでは、女性(この場合はハムレットの母親)をなじっているのですから、ここは文脈に沿って正しい理解をしておきたい。

 この台詞の後、ハムレットは続けて
「(前略)あのように泣きぬれて、棺に寄り添い、墓場までおあとを追うて行った、あのときの靴の踵もまだそのまま、跳ねのあともなまなましいというのに。母上、それを、母上は - ああ、事理をわきまえぬ畜生さえ、主人が死ねば、も少し嘆き悲しむであろうに - あの叔父の胸に身をゆだねるとは。(中略)おお、なんたる早業、これがどうして許せるものか… いそいそと不義の床に駆けつける、そのあさましさ! (後略)」
と、これでもか、これでもかと、母親をなじっています。(独白ですけど)

 ここでの本来の「脆い」という意味がズレて今日に伝わった要因の一つは坪内逍遥の翻訳にあるのでしょう。それで逍遥も後年、この「弱きもの」を「脆きもの」に変更しているそうです。また、手元の福田恒存訳では
『たわいのない、それが女というものか!』となっています。

 子供を生んで育てなければならない女性は、昔から子供のためだったら何でもできるのでした。そういう、したたかさはちゃんとDNAに書き込まれているに違いありません。人間が人間として生きていくための規範である倫理や道徳はせいぜい数百年の歴史しかないですが、人類が動物として子孫を残していく為の基本戦略であるDNAは、すくなくとも数十万年の人類の遺産ですから、桁違いですね。

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この記事へのコメント
おとこ;若い頃から勤勉で,質素倹約,立身出世し,財を築き,ボランテイアして,立派な人いわれて,しあわせな人生を全うし,あの世は天国で暮らしたい.ちょっと欲が深すぎる.

おんな;夢を語るおとこより,おかねをくれるおとこにほれ,だましてもお金のためなら何でもと,つぎから次へと変異する,そんなDNAが潜んでいる.死刑を宣告されても,うそをつき,うまくいったら,わたしの勝ち.
所詮おとこは騙せるもの.『たわいのない、それが女というものか!』

そんなおとこもおんなも沢山いると思っています.
Posted by 奈良・東京のO at March 19, 2012 19:53
奈良・東京のO様
聞いた話ですが、天国ってつまらんところらしいですよ。
くそ真面目な人が多くて、面白くも何ともないのですって。
それに比べて地獄はこの上なく面白いそうですよ。波乱万丈、それが分かったから、最近は地獄行きを志願して、悪事を働く人が男女を問わず増加傾向にあるそうです。

Posted by ユリウス at March 20, 2012 00:57
翔年 様

確か10年ほど前か。もう少し後でしたか、五木寛之著の「人生の目的」に書いてありました「天国の下僕になるよりも地獄の首魁になれ」と.あれから小生は波瀾万丈の日々ですが、まだまだ地獄の1丁目か2丁目くらいではないかと思っています.確かに地獄は面白いようですね.ただ、せめて3丁目くらいまでで十分です.決して志願することはありせん.日本の政治家らには首魁がいないような気がします.
Posted by 奈良・東京のO at March 20, 2012 17:29
奈良・東京のO様
確かに「首魁」と呼ぶにふさわしい器の大きなリーダーがいませんね。いるのかも知れませんが、民主主義の手続き(選挙)で、果たしてそういう人材を大衆が選び出すことが可能なのかどうか?
現政権を見ていると、少なくとも基本的政策を同じくする政治家が集まって政党を形成すべきだと思います。民主党も自民党もこの基本原理に反しています。この状態では政治は「決断」して「実行」することができません。
Posted by ユリウス at March 21, 2012 09:34
わたしのブログをご紹介いただき、ほんとにほんとにありがとうございます!!ちょうどこのころ実家に帰省したり、仕事や体調がごたごたしたりして、お礼を言うのがかなり遅れてしまいました。(←おそすぎる〜)
すいません!!
ハムレットの言葉には有名なものがいくつもありますが、わたしたちが思ってるのと違う意味で言ってるのもあるのですね。
勉強になりました。
ハムレットの母の心境は息子にはきっと理解できないでしょうね。わたしはいまではちょっとわかる気がします。
わたしも女だったのですね。ふふふふ。
Posted by とりぶう at June 08, 2012 14:52
とりぶう 様

ありがとうございます。
「笑えるエッセイ」でいつも笑わせてもらっています。(笑)
お礼が遅すぎる? そんなことはありません。

“It's never too late to do the right thing.”

つい先日(6月6日)ストラトフォード・アポン・エイヴォンのシェイクスピアの生家を尋ねました。公式ガイドブックも買ってきましたので、いつかBlogになにか書くかも知れません。
Posted by ユリウス at June 10, 2012 11:04