July 16, 2011

菅総理、羹(アツモノ)に懲りて膾(ナマス)を吹く −原子力発電−

 昨年10月31日、菅総理はベトナムの首相と会談し原子力発電所2基を我が国が受注したことを記者会見で語った。(1期工事の2基はロシア、2期工事の3,4号基は日本)この時の話では我が国は官民を上げて技術的、資金的両面からベトナムを支援するとしていた。
 翔年はこのうまい話が菅総理の手柄として大々的に新聞に出たとき、ちょっと違和感を覚えて「うん?」と考えたことがあります。読者も覚えておられるでしょう。「通産省はほとんど負けると思っていたが、民主党の政治主導で優先交渉権を獲得した」という大宣伝文句でしたから。この話の怖いところは資金援助をベトナムにするというところなのですが、ビジネスですから詳細は伏せられているので分りません。推測するしかありません。
 裏読みすればこうなります。政権交代を果たした民主党は国際協力銀行(IBIC)を2010年1月、分離独立させました。この銀行の資金を上手に(金利を国際水準よりうんと低くするとかなんとかして…)使って、ロシア、フランス、韓国など競争国よりうんと有利な条件を提示して勝ったのではないか、と思うのです。これは菅総理の手柄ではなくて、金利の力ではなかったか。この銀行の資金は国民の税金の塊です。いわゆる税金のバラマキ(今回のケースではダンピング)による政治家のパフォーマンスであったと確信します。
※1 国際協力銀行(IBIC)=全額政府出資の特殊銀行

 そして今回、唐突に菅総理発言「原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく」が発表されました。例えれば、商社がある機械を外国に売りこむ商談に成功した途端、その舌の根も乾かないうちに「その機械は危ないから我が国では回収して使いません」と言っているようなものです。(商人は信用に傷がつくことを一番恐れる)我が国の技術力や信用力を総理自らが傷つけている愚かさに、国民はもっと怒りをぶつけなければなりません。

 今回の福島第一原発の事故原因がキチンと解明されていないこの時期に、このような意見表明をすることが果たして賢明な政治家がすることでしょうか?  原発事故の1次原因は地震、2次原因は津波でしょう。しかし自然災害発生後において、人間の操作ミスや判断ミスはなかったのlでしょうか? あったのでしょうか? 人災は何もなかったのでしょうか? 翔年は知りたいです。キチンと原因が解明されれば、ある程度の対策は考えられます。
 地震に耐えたけれど津波に耐えられなかったのなら、津波が襲来した時、技術で最悪事態に陥るのを回避する手立ては何もないのでしょうか?  技術立国日本ですぞ。そういう議論をなにもかもすっ飛ばして、一足飛びに「原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく」とは、何たる敗北主義でしょう。「羮(アツモノ)に懲りて膾(ナマス)を吹く」とはこのことではないでしょうか。
※2 羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)= ある失敗に懲りて、必要以上に用心深くなり無意味な心配をすること。

 上に見たように長期の国際間の信頼関係を壊すかたわら、国内ではまたまた政権のとんでもない迷走が始まりました。総理の発言があると、後から閣僚がその補足やら真意の説明やら言い訳に百万言を費やすの図です。(この政権は言った、言わないの水掛け論も多いが、言い直しも多い)

13日
菅総理: 将来は原発がなくてもキチンとやっていける社会を実現していく

14日
枝野官房長官: 遠い将来の希望と言う総理の思いを語ったもの。政府の見解というより、そういったことを視野に入れた議論を進めるというのが政府の立場だ。

15日
閣僚懇談会での菅総理: 政府見解でなく、個人としての考えを披瀝したものだ。
与謝野経済財政相: 石油や天然ガスは(国際的に)取り合いになり、値段も高騰するし、安定供給にも懸念がある。それでもいいという覚悟を決めるのか?


原子炉は既にメルトダウンした。4ヶ月遅れて民主党政権がメルトダウンを始めた。もはや注水を開始しても間に合いません。でも国民は避難できません。力を合わせて政権への非難を強めるしか方法はありません。
 

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この記事へのコメント
奈良・東京のO様

「余力」ね。電気の需給バランスでは「予備力」、人間の場合は経済力以外の人間の器の大きさもいれて「余裕」、「ゆとり」ですかね。
 今の世の中、「余力」を「余分な力」と見なしていつ人が多いですね。

 翔年は「無駄こそ文化の素」ではないかと思っているのですが、民主党政権はこれが気に入らんように見えます。「埋蔵金」、「埋蔵電力」、「なんじゃらかんじゃあら」と全て余裕分(次世代に残しておきたいもの)を使おうとし、それで社会を動かそうとしています。こういう社会になったら、一旦ことが起これば(起こる可能性のあることはおこる)、社会は大きなダメージを受けるでしょうね。最大不幸社会の到来となるでしょう。

 そういえば菅総理、就任時は「一に雇用、二に雇用、三に雇用」とか政策なしのスローガンだけを叫んでいましたが、最近は雇用どころではないようですね。
Posted by ユリウス at July 27, 2011 22:25
「余力」は大切.それには?人類は温暖化を阻止したので,天から恵みがきました.また地震,エルニーニョ,豪雨,干ばつを防いでくれた.さらに酒類,煙草の消費は激減し,健康食品の普及と医療技術の進化により平均寿命100歳,老齢年金は80歳に引き上げられた.若者らが増えました.あれあれいつも間にか国債赤字は減ってきた.みんな元気元気,余力は大切.かと言って止められない酒と煙草.(独りごとその2)
Posted by 奈良・東京のO at July 26, 2011 07:05
奈良・東京のO様

独り言、歓迎ですよ。
あなたの場合は、お顔も人柄も存じ上げている方ですから、何の問題もありません。独り言、ドンドン発してください。
(WebにはTwitterなるものがあり、匿名で無責任なことをつぶやく方が多いです。僕は匿名でぎゃあぎゃあ騒ぐやり方はあまり好みません。)

「なでしこジャパン」の快挙、素直に心から喜んで祝福してあげたい!
彼女らの人気を政治に利用しようとしたり、人気にあやかって金儲けをたくらむ人たちはこれからも後を絶たないでしょうね。こっちは冷静に観察していきましょう。
特に決断(意思決定)と実行(政策の実現)をせずに、人気取りばかりを気にかけて発言する政治家はウンと叩くことにしましょう。
Posted by ユリウス at July 20, 2011 09:48
真に僭越ながら,菅総理にお尋ねしたいことがあります.なでしこの顔は超人の顔ばかりで,最後の最後まで力を果たし尽くしたと誰もが思いますけれど,彼女らにはまだまだ「余力」が絶対にあると思えます.超人らの顔から,安易に頑張るという発言は,単なる事象の利用としか思えないのですが.こんなことばかりしていてはどうしようもありません.(ひとりごと無礼しました)
Posted by 奈良・東京のO at July 20, 2011 06:56