December 29, 2010

蛙のタタリ

 秋に受けた人間ドックでPSAマーカー(Prostate Specific Antigen、前立腺特異抗原)の値が高いから生検を受けるように医者から言われた。実は今回で3年連続、ドックから生検のお薦めの手紙をもらっていた。(前立腺肥大と前立腺癌の区別がつかないため、生検が必要だと)
 三度目の正直で、まぁ検査だけは受けてみるかと20日に病院へ重い足を運んだ。

図はBeckman Coulterより借用(ここ  http://www.beckmancoulter.co.jp/campaign/blue_clover.html )

前立腺
 前立腺は男性特有の臓器で胡桃の実程度の大きさ。膀胱の下部に尿道を囲むようにして存在しているらしい。
 検査の説明を聞いて驚いた。肛門から機械を挿入し、大腸を突き破って前立腺に到達し、そこの組織を取って調べるという。(後ろから攻められるとは夢思わなかった)



 小心者のことを「ケツの穴が小さい奴」と軽蔑していうが翔年はまさしくそれだった。機械を突っ込まれる痛さには参った。本来排泄のための穴なのに、そこに逆行して無理に太い棒状のものを押し込むのだからたまらない。必死に我慢を続けたが、額には脂汗が滲んだ。
 検査医は「これから組織を取ります。ちょっとチクッとしますよ」と言いつつ機械を操作した。ガチャンという音とともに身体に振動が伝わってきた。
 チクッ、ガチャン、チクッ、ガチャン、チクッ、ガチャン。これを五回繰り返した。
 やれやれ、これで済んだかと思ったとたん、「これで半分終わりました」と看護婦さん。「機械を反対方向に回します」と検査医。この種の趣味を持たない翔年にはこの苦痛から一刻もはやく逃れたいと心底思った。それから、チクッ、ガチャンが6も回あって、結局、生検は11箇所の組織をとって20分ほどで終わった。

 検査終了後、看護婦(法律上は看護士)は「しばらく休んでからお帰り下さい」とあくまでやさしい。検査医と看護婦さんから、血尿や血便が数日続くという説明と高熱が出た場合は他の医者にかからず、必ずこの病院へ電話をしてくるようにと注意を受ける。生検の結果は来年になるとのこと。


 翔年は子供の頃、いたずら好きだった。アマガエルを見つけると捕まえて、尻にストローを差し込んでプッ−と空気を吹き込み、蛙の腹を膨らませて遊んだ。母からそんな殺生はやめなさいと何度も叱られた。が、母の言う蛙の苦しみは理解できなかった。
 これはあの時の蛙のタタリに違いない

 やさしい看護婦さんにこんな話をしたら、大笑いされてっしまった。翔年の格好が蛙が苦しんでいる姿そっくりだったんだろう



梢から立小便や青がへる   一茶

青蛙濡れ身軽々掌に乗れり  藤木倶子

俳人はみんな蛙を友達としてみている。決していじめの対象にしていない。気がつくのが遅すぎた。

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