September 16, 2010

中国漁船が領海侵犯、違法操業、衝突、拿捕事件を考える

 7日に発生した中国漁船の領海侵犯事件は、中国政府と中国人の過激な反応、わが国政府のの卑屈な対応、大手マスメディアや政治家のピンとはずれな報道やコメントなど、対中国との問題では何故こうもおかしな反応になるのだろう。非は中国側にあるにもかかわらず、このような対応に追われるのは、従来のわが国政府の中国対応に、反省し改めなければならない点があるのではないか?


1 まず、すべての出発点である事実を確認をしておかねばならない。
 7日午前10時15分頃、東シナ海の尖閣諸島の一つ、久場島の北北西約12Kmのわが国領海内で、哨戒中の海上保安庁の巡視船「よなくに」が、違法な操業をしていた中国漁船を発見、漁船は逃走、逃走中に急激な進路変更をしたため、「よなくに」と接触事故をおこした。船尾が接触した「よなくに」は甲板の支柱が一本破損、けが人はなかった。
 さらに中国漁船は現場近くにいた巡視船「みずき」の停船命令にも従わず逃走を続けた。午前10時50分頃、久場島の北西約15Kmの海上で急に進行方向を変えたため、追跡中の「みずき」と衝突、「みずき」は船体が約3mにわたって損傷し、支柱数本が折れた。けが人はなかった。
 ようやく、午後1時前、漁船を停止させ、「みずき」の海上保安官が漁船に乗り込んだ。

巡視船「みずき」
巡視船みずき
→ ポイントはわが国の領海を中国漁船が侵犯したこと。領海内で違法操業したこと。巡視船の停船命令に従わなかったこと。故意に進路変更をして衝突事故をおこしたことだ。これらはすべて中国漁船に非があることをシッカリ認識して、その後の報道をみると、見えないものもみえてくる。

 では漁船が巡視船2隻に追われても逃げられると判断していたのは何故か? それは今まで巡視船が領海を侵犯していた漁船を拿捕せず、追いかけて、逃げていただいていたからではないのか? わが国の領海を侵すことを許さないという毅然とした態度をこれまでとってこなかったことのツケだと考える。

 また、わが国の新聞報道では見出しは各社とも「巡視船と中国漁船の衝突事件」であるが、これは故意に一部分を隠している表現だ。事件の本質は「中国漁船のわが国領海侵犯事件」であり、「中国漁船の違法操業事件」であることが、読者に伏せて報道している。「中国漁船と巡視船の衝突事件」という見出しでは、公海上で起こったアクシデントの意味に取れる。(ように書いている)

 そんな報道の上っ面を読んでいると、物事を深く考えない蓮舫行政刷新相のような「これは領問題土だ」というバカなコメントがでてくる。日本政府の見解は、従来から尖閣諸島について「領有権の問題は存在しない」である。政治家としての自覚に欠けるのか「勉強不足」なのか知らないが、民主党議員にはこの手の発想をする議員が多いと思う。こういう政治家が政治主導で事を行えば、中国や韓国は大歓迎するだろう。
 
魚釣島  photo by wikipedia
Senkaku-uotsuri 
※1 尖閣諸島は魚釣島や久場島などの無人島からなる島嶼群で、沖縄県石垣市に属する。沖縄本島から410Km、石垣島と台湾からそれぞれ170Km離れている。
※2 領海侵犯(りょうかいしんぱん、Intrusion into territorial waters)とは、国家がその領海に対して有す権利を侵犯する行為の事である。具体的には他国の船舶が当該国の許可を得ず、領海に侵入・通過することを指す。
※3 拿捕とは国家が主体となっておこなう船舶の航行の自由を制約する行為のうち、船舶の抑留など実力行使を伴うものをいう。

 
2 もう一つの事実はもっと重要かもしれない。
 海上保安庁の鈴木久泰長官が10日、衆院国土交通委員会で明らかにしている。長官は、尖閣諸島周辺の領海内で海保が外国籍の船舶に立ち入り検査した事例が平成20年は2件、21年は6件だったが、今年はすでに21件に上ると指摘した。事件が発生した7日には尖閣諸島周辺に約160隻の漁船が集まり、うち約30隻が領海を侵犯ことが確認されている。
→ これがわが国の国防の実態なのだと思う。情けない。いわば自分の庭へ無法者の侵入を許し、彼らが庭から作物や財物を持ち帰ることを許しているような状態なのだ。こんなノンキな国は地球上にないと思う。
 これは民主党政権がどうだ、自民党政権がどうだというような問題ではない。日本国民の「国」に対する意識の問題が底辺に横たわっている。時の政府に経済的な「所得補償をしてくれ」、「子供手当てがほしい」、「雇用を何とかしてくれ」、「経済をなんとかしてくれ」というような「くれくれ要求」は何でもするが、「国の安全(国防)をシッカリしよう」というような議論は何時も避けてとおり、なんとかなると思っている。それは大事な基地問題や自衛隊の論議の時に、あまりにも現実的でない議論を政治家がするのを認め許していることに現れている。

3 防衛白書が閣議でやっと了承される。
10日午前の閣議で「日本の防衛(防衛白書)」がやっと了承された。白書には「(中国軍の)不透明性や軍事力の動向は、地域・国際社会にとっての懸念事項であり、慎重に分析する必要がある。」、「(米海兵隊の沖縄駐留の理由)米本土やハワイ・グアムに比べ、東アジアの各地域に近い」など、具体的説明が遠慮がちに盛り込まれているらしい。
→ 遅きに失したとはこのことだ。鳩山前総理がご認識されていなかったこと(抑止力)がチャンと書いてある。実はこの白書、とっくの昔に出来上がっていたのだが、中国や韓国に配慮するあまり、閣議了承を今まで遅らせていたのである。国民の命と財産を守るべき政府が「泥棒を捕まえて縄をなう」愚をやってはならない。
 そもそも領海侵犯が頻繁に起こり、相手国は意図的に圧力をかけて、領土を奪いにきているのに、その対応が国土交通大臣(海上保安庁所管)でいいのか? 

4 毅然とした態度が取れない日本政府
13日の官房長官の記者会見の発言。
「14人と船が(中国に)お帰りになれば、また違った状況が開けてくるのではないか」。仙谷長官は卑屈にこう語り、事態の沈静化に期待感を示した。
→ こういうトップの発言はますます相手国からの攻撃を誘発する。侵犯した漁船(証拠品)を早々と返すことはない。日本は叩けば叩くほど譲歩するという誤った情報を相手国に送ってはならない。官房長官の発言は「いつも冷静に」だけでは不足で、「いつも毅然として、冷静に」でなければならない。

5 中国、台湾、香港が対日本包囲網?
 東シナ海では中国、台湾、香港が協力して対日圧力をかけ始めている。同じように南シナ海ではベトナム(西紗諸島)やマレーシア(南紗諸島)が中国から圧力を受けている。
→ こういう事態に対して、東アジア情勢をどう分析し、どのように国際世論を引きつけて、どのように中国に対峙するかというような問題こそ、政治家がリーダーシップを発揮する必要がある。政治主導以外はありえない分野ではないのか? 
政治家よ、しっかりせよ!

※4 昭和43年(1968)に国連アジア極東委員会が「尖閣周辺の大陸棚に石油・天然ガスが埋蔵されている可能性がある」という報告を出すまで、中国は国定の地図で尖閣諸島を日本領に入れていた。それを突如翻し、自国領だと言い出しても、日本政府はは断固拒否しないのだから、中国はウソでもなんでも押し通すべきだと考えるようになった。尖閣諸島を手に入れれば東シナ海は全部自分のものになるのだから。


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この記事へのコメント
昔,角栄さんが当時の主席やその愛人に手みやげもっていき国交ができて今日にいたる.今の主席にも事件とは別に大使館から手みやげもって行ったら済む程度をいちいち相手にしなくてもいい.希土のお得意さまは我が国しかない.こんな脅しに乗ってはならない.四川省地震後の支援を忘れたのか!船長の馬鹿面だすな.これを代表させたら良民は悲しみます.
Posted by 奈良・東京のO at September 25, 2010 19:36
奈良・東京のO様
22日に関連する記事、『劉暁波にノーベル平和賞を』−ヘラルド・トリビューン紙より− をアップしましたのでご笑覧ください。
Posted by ユリウス at September 22, 2010 02:20
私見ですが,隣国の善良なる国民のために分国分権を願っております.
100円玉あげるからか,大使館や料理店に石を投げろと大勢集まる,日本ではあり得ない暴動と情けなく思う次第です.時代錯誤甚だしい兵を集める大国になろうとしているのでしょうか.見方を変えれば南米や太平洋ジャングルの保護区のごとく,ここでは語れない晩の食卓にある写真を隣国元商社マンに見せられたことがありました.
Posted by 奈良・東京のO at September 21, 2010 16:56
奈良・京都のO 様

中国の有力紙「環境時報」(9月19日付け)にこんな記事が載ったそうです。
「沖縄は日本の明治政府が清朝から奪った。いまも日本政府は沖縄住民の独立要求を押さえ込んでいる」
「(尖閣諸島は)明らかに中国領であり、話し合う資格なぞ日本にはない」
これは中国のホンネかも…。尖閣諸島だけではなく中国の究極の領土的野心は沖縄も視野に入っている。(東シナ海は全部自分の海にするつもりか?)

※『環境時報』は英語版『GLOBAL TIMES』も今年から発行し始めているそうで、こういう情報を世界に向かって発信しているのですね。
Posted by ユリウス at September 20, 2010 12:41
ご返事ありがとうございました.書こうか迷ったのですが,日本が嫌で外国籍は無いと思うのですが南部先生の様な方々がいるのかと思ったりして,一般中国人の資産家が華僑とよく似た海外永住,米国への留学生もそのまま亡命みたいに,日本では身近に日本人と結婚して連れて帰る意志はない中国人は万といると思います.とにかく人口が多い国土が広い.米の州法をみても知事がきてインフラは日本,韓国,中国,仏相手と国単位です.中国の分国なければアフリカより思想レベルは劣るような気がしています.前のブログに書かれていましたように日本国民のレベルは世界で本来高い方なのでOグループは考え直してもらいたいです.菅さんは総理の特権があるので捜査は自由ですよが分かっているので優しい顔してますけど鳩山さんみたいに本当に優しい(良い意味ではありません)かどうか?です.総理はいざとなれば生命をあやつ・・。
Posted by 奈良・東京のO at September 19, 2010 21:59
奈良・東京のO様

小生もいずれ統治不能に陥ると見ていますが、どのような状況において、いつ頃になるかが問題です。
北朝鮮の例もありますし、独裁政権が軍部を掌握していると、国民は武力弾圧されてものを言えなくなります。そんな政権に協力する輩もいるので、分国も難しいし、政権転覆はもっと難しい。
資本主義の市場開放とインターネットなどの情報のオープン化がすすんで、さらに国民の教育レベルが更にアップして、中国国民が目覚めて共産党一党独裁が通用しなくなるような状況が実現すれば、一番いいのですが、まだまだ遠い遠い話のような気がしてます。

Posted by ユリウス at September 19, 2010 01:29
茶化すわけではありません.中国は少なくとも5つ6つに分国しなければと思っています.少し前,姪が大連出身の中国留学生と結婚しました.その留学生の友人も顔見知りです.中国人同士では地域や民族が異なると日本では考えられないほどの闘いと憎しみ合いを聞きました.今この事件で理由のわからぬ暴動が起こっています.昔,少女アグネスチャンが来日したとき,「日本には美味しいものが空に飛んでいますね(鳩)(笑)」と耳にしました.ハクビシン,ヘビも蛙も食べる.マサイ族は糞まみれの山羊の腸を焼いてご馳走するらしいですが人間性はいいと知り合いの教授から聞きました.中国首脳は不気味.これに気づかなければならない.しかし何れ深刻な内乱は出てくるように思っています.東欧と同じと思います.
Posted by 奈良・東京のO at September 18, 2010 15:55