February 19, 2010

リスク学

 日本の三選手が出場するフィギュアスケートのフリーが始まっている。SPで三位につけている高橋大輔(関大大学院)、4位の織田信成(関大)、8位の小塚崇彦(トヨタ)の三人は一位のプルシェンコ(ロシア)に対し、日本の期待を担ってまもなくリンクに立つ。

 高橋は4回転を飛ぶと決意を語っている。プルシェンコを抜いて金を目指すには、例えリスクがあっても4回転を飛んで勝負したいということだろう。

 スポーツ選手は常に自己の限界に挑む。リスクは避けて通れない。石橋を叩いていては勝利の栄光はないことを知っている。観客はそのチャレンジが成功したときに拍手を惜しまない。だが、「成功」と背中合わせに「失敗」がある。競争社会は残酷な面を内包している。



 スポーツなどで大成している人は、多分チャレンジ精神が旺盛であろう。だが、人間にはチャレンジャブルなタイプばかりではない。慎重タイプも多い。いわゆる石橋を叩く、いや叩くだけで渡らない人もいる。そういう人間が混じりあって社会を構成している。

 若い頃、人生の先輩からは「石橋を叩いて渡れ」と諭されたことがあった。しかし、一介のサラリーマンといえども、ことはそれほど簡単ではなかった。叩いて安全を確かめてから渡ればばいいと言うが、たたき過ぎたら石橋が壊れるかも知れないし、叩く手が傷つくかも知れない。現代社会のような環境の変化の激しい時代ならなおさら、叩きもしないで、渡らないでじっとしていたら、リターンが得られないという損失が発生する。リスクを回避しようとすること自体が得られたかもしれない機会を逃がすというリスクを負うことになる。いやはや、まことにむずかしい。
 これを「リスク学」と言うらしい。

 スポーツ選手や投資家だけでなく、翔年のように老境にいる人間も、病気に襲われたとき、よりよい生を全うするために、「リスク学」のお世話にならなければいけないのではないだろうか。

 これから、NHKBSTVを見ます。

追加記事(14時35分)

高橋大輔、やりました!

たった今、男子フィギュアスケートが終わりました。結果を報告します。


第1位 ライサチェック  257.67
第2位 プルシェンコ   256.36
第3位 高橋大輔     247.23

ライサチェックは4回転を飛ばず、そのかわりミスのない完璧な演技でした。

プルシェンコは4回転を一回飛んでそれを成功させた。が、他のジャンプに彼らしくない軸が曲がった姿が見られた。このためか点数が伸びなかった。ただし、8年間ジャンプで転倒がない男、今回もすべて持ちこたえて着氷したのはさすが。
翔年は4回転にチャレンジし続けるこの男に金をやりたかった。

高橋は金狙いで4回転に果敢に挑戦したが転倒した。しかし、大怪我を乗り越え、弱いといわれた精神面を充実させてオリンピックに望み、結果を出したのは見事と言うほかありません。4回転は失敗したけれど、彼のファイティングスピリットを皆さんとともに称えたいと思います。

織田信成は転倒した時のショックでしょうか? 靴の紐が切れるアクシデントに見舞われて、3分間の演技中断による減点2は痛かった。
トータル238.54で7位。

小塚は日本人でただ一人、4回転を成功させ、8位と健闘した。 

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この記事へのコメント
たまさん,心込めて沢山書いて頂き,ファンとして感謝申し上げます.
果たして金より価値ある演技を知った人類はこれからのオリンピックの観方は確かに変わったはずです.点数評価はこれから通じるのでしょうか?
荒川静香さんは点数のみならず本当の金と思いました.
Posted by 奈良のO at February 21, 2010 21:24
奈良のO様

藤田さんのことは「人生のセイムスケール」のここ
http://art-random.main.jp/samescale/076-2-2.html#m-fujita
にアップされていますよ。

フィギュアスケートでリスクをとってチャレンジした選手が不幸にして失敗した時、あまり大きな減点を与えて罰してはならないと思います。
彼らは技術開発をするイノヴェーターなのですから。

Posted by ユリウス at February 21, 2010 00:34
こんばんわ,奈良のOです.少し前から沈んでいます.大好きな”藤田まとと”さんがお亡くなりました.藤田さんこそ,リスクを何ら考えない方で
妻の大借金などありましたが,藤田さんから心にしみる沢山のお教えを感じ頂いた気がしております.高橋選手は最期を悟って出たオリンピックと思いました.プルシェンコ選手も同じと思います.お2人共極限状態と察しました.リスクを超越していたと感じられました.メダルが欲しかった選手はライサチェクで4回転を入れませんでした.しかしプルシェンコ選手は失敗するはずのないジャンプが惜しまれるような気がしました.最期の華を咲かせたいという思いであったのでしょう.流石です.昔のびのび踊り廻った伊藤みどり選手が懐かしいです.
Posted by 奈良のO at February 19, 2010 22:03