October 20, 2009

西川社長辞任?を考える -見苦しい袋の中のネズミたたき

 日本郵政の西川善文社長を政治家どもが「袋の中のネズミたたき」みたいなことをしている。逃げも隠れもできないネズミ(民間人)をたたいているのは、鳩山首相、亀井郵政改革相、原口総務相だ。
 権力を持つ政治家が自発的な辞任をうながす発言を繰り返し、自らの判断で辞任せよと迫っている。見苦しいかぎりだ。翔年はこのやり方が気に喰わない。


 西川社長は2006年1月、当時の小泉首相に請われて郵政の準備会社の社長に就任、以後経営のトップとして今日まで指揮をとってきた経営者だ。翔年の見るところ、「かんぽの宿」の売却をめぐる不手際などの不祥事が相次いでマスコミをにぎわしたとはいえ、政治家が郵政改革のために礼をつくして民間から迎えた社長だ。当時、郵政改革はわが国最大の政治課題であって、国民は郵政改革を望み、その経営をお願いしたのだ。その後、自民党の恥知らずの政治家共は、小泉改革を「悪」とする構図のもとに自分達の延命策を計ったが、それもうまく行かずに政権明け渡しに到ったのだった。

 政治家に礼儀や道徳を説くのはお門違いととは承知しているが、政治家の人気取りの犠牲になった経営者であることは間違いない。郵政の大株主は国とはいえ、れっきとした民間会社なのだから、社長としてふさわしくないと判断するなら、商法の定める所にもとづいて、株主が社長の首をすげかえればいいことだと思う。株主責任は総務大臣が負うのが筋というものであろう。

 さて、翔年は「郵政民営化を後戻りさせてはならない」と考えているので、2009年1月19日のエントリー「簡保の宿は不良債権の処理の筈だ!」 で述べたことのうち、3点を再確認しておきたい。

(1) 郵政民営化の意義は今でもある
 簡単な例で説明できる。「集配郵便局数が合理化されたので不便になった」という類の国民の不満は、満足させようとすればできるが、それには金がかかるということを忘れてはならない。

(2)かんぽの宿は早期処理が最優先の課題である
 今でも年間約50億円の赤字を計上している。民営化に当たって、これを廃止・売却するのは当然のこと。不良債権は早期処理しなければ、会社の存続が危うくなる。一括売却であれ、個別売却であれ、最優先の課題であることはまちがいない。
 民主党は売却を凍結する方針だというから、またまた、国民の負担が増えることになる。

(3)郵便貯金特別会計は大赤字を生むシステムだ。
 かつて、国鉄の「特別会計」で国民は大赤字を蒙ったことを忘れてはならない。


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この記事へのコメント
奈良のOさま

同感です。
国民に甘いことばかり言う政府であってはなりません。
自助努力をしないで、振り込みを待つ国民ばかりになったら大変です。

2010年度の予算が12月下旬に決まると思われますが、行政刷新会議の作業を見守っているところです。
(1)ムダの排除がどの程度なされたか? 95兆円 → ?
(2)国債の発行額をどこまで絞り込んだか? 50兆円 → ?
これで民主党の評価がある程度できるのではないでしょうか?
Posted by ユリウス at October 22, 2009 17:25
ユリウス様

新政権に求めることは,底辺は”節度ある行為”というのか,目を光らさねばならないのは節度行為と思っています.
脱官僚のみでなく,たとえば福祉・保護に要している費用.
生活保護者には決算書提出義務(領収書付き)が必要.生活保護資金をギャンブルに奔走するもの,偽装離婚で母子手当を要求する者(これをローン返済にあてている事実多数あり).受付窓口にかかる無駄な人件費.これら合わせると年間数十億以上,無駄です.バラマキ政策をあてにする馬鹿な国民を増やしてほしくはありません.
Posted by 奈良のO at October 22, 2009 08:57
奈良のOさま

大きな政府になれば、国民負担は増え続けます。少子高齢化社会でこれをやれば、次世代に借金の山を残すことになりはしないかと危惧しています。

これ以上、次の世代に借金を残さないという毅然とした姿勢を政府に求めたいと思いますが、どうやら期待できそうにありません。
Posted by ユリウス at October 21, 2009 21:47
民主党は特異体質さま

小生はそこまでは言いませんが、郵政民営化を後退させたり、大きな政府になって、民間の活力を削ぐことがないかどうかを危惧しています。

いずれ、来年度予算が固まった時に、そのことを論じたいと思います。
Posted by ユリウス at October 21, 2009 21:44
newtypeさま

「ゴールド万サックスと繋がっている」、「ユダヤ資本が入っている」、「外資が参入してくる」などとといって、脅したり、恐れたりする人がわが国には大勢いますね。
この人たちにグローバルな視点を持ちましょうといっても無理なのでしょうか?

外資はたいへん戦略に長けていますが、根本は資本の論理によって行動します。日本人も負けないように戦略をねって戦うべきだと思います。

21世紀をわが国が世界に伍していくとは、そういう気概が必要でしょう。
Posted by ユリウス at October 21, 2009 21:40
 観点の違ったところから大国米を眺めますと,20世紀遡ったローマ帝国が
浮かびます.略奪の繰り返しと建設業で滅んだ大国のミニュチュアが米でいづれ滅びることになるのではないかと.
以前,民主党の目指す政権は大きな政府にならざるを得ないとのご返事をいただきました.今,大手とされる各業界は次第に会社運営が難しくなり不況が蔓延しています.米GMも破綻しました.また角栄政権から始まった土建国家は
昨今無駄とされ滅びつつあります.土建国家の就労人口と家族は大きい.
 今更簡単に商売替えができないのが普通と思えます.
 さて新政権が目指しているものが何かよくわかりません.大きく膨らんだ政府には必ず大きな歪が付着する.大きな政府が歪を見せようとしないうちに破滅しないことを願います.
Posted by 奈良のO at October 21, 2009 16:36
反改革派の陰湿で執念深い亀井静香は、連立政権の郵政・金融担当相として鳩山由紀夫と共に日本を後退させる意欲十分である。
民主党は異様な特異体質であり、亀井静香や千葉景子などアキレス腱が多い。
Posted by 民主党は特異体質 at October 20, 2009 19:17
郵政民営化について一言
確かに民主党の凍結問題は国民に対して負担をかける事になる。しかし、西川社長は元々三井住友銀行出身で、この三井住友銀行が米国のゴールドマンサックスと繋がっているのはご存知だろうか?そもそも郵政民営化の本当の狙いは郵貯にある国民資産1500兆円を米国が取得したいが為に起きた問題である。郵政グループを民営化し株式公開をした後、間違いなく外資系企業が参入してくるだろう。そうなれば、郵便事業も銀行事業も外資主導になり、国民にとってよいサービスを失う事になる。更に国民資産を米国に握られる事により、この国民資産は米国の負債に当てられる事になる。
だから、鳩山首相も亀井大臣も原口大臣も売国奴追放の為に辞任に追い込んでいるのです。
Posted by newtype at October 20, 2009 15:11