February 19, 2009

100年に一度の危機は……

 自民党の幹部は二言めには、「今は百年に一度の経済危機」とおっしゃる。それはそうかも知れません。そうでしょう。が、もっとはっきりしていて、もっと恐い危機が目の前にあります。それは「今、百年に一度の政治危機」です。政治が信を失い、何も決断できなくなっている状況ほど、国民にとって恐いことはありません。
 
 
 翔年が愛読する塩野七生さんの『ローマ人の物語』の文庫本32,33,34巻は「迷走する帝国」という副題がつけられています。現在のわが国を考えるのにふさわしい、エピソードや塩野語録に満ちています。

その塩野語録をピックアップしてみます。

1 
「権力者は、たとえ憎まれようとも、軽蔑されることだけは絶対に避けねばならない。」

→ 麻生総理は漢字が読めない人と国民に思われた時、すでに痛手を負っていたのです。それ以後も、度重なる失言や前言撤回(いちいち書くと長くなるから止めます)など、国民の失笑をかっている。その上にもっと大きな目に見えない失策を重ねているのです。それはは総理として、先を見通す力の不足決断力の欠如です。

 麻生政権発足時、総理は自分の人気で選挙に勝てると見ていたふしがある。(バカな)自民党議員の全員の支持を得て総理になって自信満々でしたから。ところが、解散総選挙を決断できなかった。(これは福田総理が望んでいたシナリオでしたが…)
 また、今回の中川財務・金融相の辞任劇では
16日: 財務相に続投を指示  
→ 見通しが甘い。リーダーの資質に欠けている。
16日: 09年度予算案、関連法案が通過すれば辞任(条件付の辞表受理ですね)
→ 同じ日に前言をひるがえした。辞任と引き換えに法案を通そうという駆け引きは、自民党の良く使う手ではあります。古い自民党体質そのものですね。麻生総理はこういう考えで物事を処理するお方らしい。
17日: 辞任(受理した)
→ リーダーの決断(発言も)がこれほど、コロコロ変わるのはいけません。政権の墓穴を掘ったのは誰か、一刻も早く気づいて欲しい。今から攻勢に転じても、好結果は期待できません。人心掌握力がこんなにも弱くては、何をしてもダメでしょう。既に引き時を失しています。


2 
「政策とは、将来にわたっていかなる影響をもたらすかも洞察したうえで、考えられ実施されるべきものと思う。」

→ 100年に一度の経済危機と言いながら、場当たり的な政策(定額給付金)は出したけれども、肝心の遠い将来を見通した政策はないのが現政権でしょう。「迷走する帝国」がローマなら、わが国は「混迷を極める先送り国家」と言うしかありません。物事を先送りするのは、老人の体質です。

3 
「哲学や芸術面ではギリシャ人に及ばず、体力では肉食民族のガリアやゲルマンの民に劣り、技術でさえもエトルリア民族の教えをうけることで、ああれほどのインフラストラクチャーの完備を可能にした技術立国になり、経済の才能でもカルタゴやユダヤの人々にはるかに及ばなかったのがラテン民族だったが、そのローマ人がこれらの諸民族を傘下に収める大帝国を築き上げ、しかも長期にわたってその維持に成功してきた真因は、実にこの、持てる力の合理的で徹底した活用への執着、にあったのだった。」

→ 塩野さんはローマ帝国を語っていますが、この分析は、日本国を励ましているように翔年は受け止めています。

百年に一回の危機なら、
若い政治家よ、立て! 若い人たちを結集せよ! この国の舵取りを老人達から取り返せ! 21世紀にふさわしい国つくりをはじめよう!

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
Isoda Noboru 様

一年の1/3が海外ですか。
小生には考えられないほど長期ですね。

>おそらく日本人にはグローバルな動きをしようとするDNAがないのではと疑わざるを得なくなります。。。
確かにそういう感じがする時があります。
小生はわが国の在外大使館の対応に「何んだ! これは?」と思ったことがありますし、海外ツアー等もその傾向がありますね。

>政治屋さん達もその一例なんでしょうね、きっと。
外国の要人とのパイプが弱いみたいですね。
よく言葉の問題にされますが、そうではなくて、本当は意識の問題だと思います。

また、海外のフレッシュな空気を送ってください。お願いします。


Posted by ユリウス at March 19, 2009 19:17
翔年 さま

ご無沙汰しております、桂木俊介(Isoda)です。
2月は殆どの時間をMalaysiaで過ごしました。 今から手伝うNGOの現地情報を収集するためです、ついでに自分の専門のビジネス日本語を少し教えてきましたが・・

年間1/3くらいは海外におります、将来はアジア・南米を含めた向こうでの生活も視野に入れておりますが・・

突然現地のTVに「居眠り・あくび中の日本の大臣」が写りました、同じ日本人として恥ずかしいと思いますが、これが日本の真実なんでしょう。

少なくとも世界に出て活動しようとする政治家もいませんし・・寂しい限りですが、、、 海外から見る日本は、身の回りにいっぱい日本製品(家電製品・車・ゲーム器・寿司、鉄板焼きレストランなどなど)が溢れていても
日本が見えません。 総理の名前を知っている人は殆どおりません・・・

マスコミはその事実を伝えようともしませんし恐らく伝えるための情報も取れないのが実態でしょうか???

こちらでは凄い人数の人たちが(シニア層ですが)ロングステイしていますが、多くは日本人同士の付き合いで現地の人たちと交わろうとしません(勿例外者も結構いますが)、おそらく日本人にはグローバルな動きをしようとするDNAがないのではと疑わざるを得なくなります。。。
政治屋さん達もその一例なんでしょうね、きっと。  桂木俊介(Isoda)
Posted by Isoda Noboru at March 19, 2009 06:46