December 30, 2008

コーチの器 −ニコライ・モロゾフ-

 今年のフィギュアスケートは男子も女子も、日本選手が大活躍したので大変楽しませて貰った。採点の仕方や解説著の説明に不満な点はあったけれど。

 今日の読売新聞にニコライ・モロゾフコーチのインタビュー記事があった。安藤美姫を指導しているモロゾフコーチは、今期から村主章枝と織田信成も指導している。インタビュー記事の中に、彼の確固とした考えが述べられているのに流石と感銘を受けた。

『村主について』
「彼女は、周囲が3−3回転連続ジャンプなどを跳び、自分は出来ないため、パニックに陥っていた。出来ないことをしようとして躍起になると混乱する。問題は準備の仕方だった。」
「私は、世界選手権に行きたいなら、完璧な演技をして、他がミスをするのを待てと教えた。」

 → 新しい技術で変革を期待する村主に対して、モロゾフコーチは何も変える必要はないと言ったのだ。そして、その通りの準備をして、村主は世界選手権に出場できる事になった。
村主はもうトップを争うのは無理かもと翔年は思っていたが、コーチは全然違った見方をしていたのだ。その慧眼に敬服する。

『織田について』
「4回転にややこだわり過ぎていると思う。4回転は他がすべて完璧で、初めて切り札となる。まず、他で回転不足を撮られないこと、後半2本目のトリプルアクセルを確実にいれることだと説得した」

→ ここでも、コーチは選手の手綱を締めている。新しい事を教えすぎるような愚はしていない。教えすぎないのもコーチの力量である。

『安藤について』
直前の練習で村主と衝突して足を痛めた安藤を評して
「2年前の安藤だったら、気弱になって終わっていた。しかし、今季は人間として成長し、甘さが消えたどんな体調でも高難度の技に挑戦し、転倒しても滑り通す強さがある。」

→ 人間的成長を促すのは難しいことではあるが……。彼ら師弟は達成したということか。


 モロゾフコーチの最後の「提言」がまた素晴らしい。
厳しく回転不足を取る今季の規則は、高難度に挑む選手を罰し、競技の未来のためにならない。ロシア選手権では、高難度技に挑んだ選手にボーナス得点を与えるが、全日本でも一工夫あってもいい。」

→ この意見には全面的に賛同する。日本の関係者は一工夫も二工夫もしてほしい。フィギュアスケートの将来の為に……。
減点主義の社会は息苦しいことに、早く気づくべきだ。

 単なるインタビュウ記事だけど、コーチの器の大きさを感じました。彼に指導を受けている選手は幸せだと思う。




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この記事へのコメント
狂多狂人さま

そうですか?
小生はそういう人達からは出来るだけ離れて、生きていたいと念願しています。


Posted by ユリウス at December 31, 2008 10:44
なぁーんか、安藤選手と村主選手に凄ーーいバッシング起きてるみたい。ほとんどがいいがかり。
Posted by 狂多狂人 at December 31, 2008 02:45