March 28, 2008

自治体火だるま?

 この間から東京都議会が経営難に陥っている「新銀行東京」を支援するかどうかで、マスコミは大分騒いでいたが、漸く支援する方向(400億円)でひとまず決着がついたようだ。ところが、大阪はもっともっと大変な「ワールドトレーディングセンター(WTC)」など自治体の根底を揺るがす大きな問題を抱えた企業群がたくさんある。市民は薄々分かっているが正確な情報は得られない。

 ちょうどおあつらえ向きに、「日経ビジネス」(3.31号)に『自治体が火だるま「50社リスト」』というスクープ記事が載った。それによると地方自治体の重しになっている第3セクターなど「問題企業50社」のリストが秘密裏に作られているという。どこもかしこも危ないところだらけなので、まもなく「地域力再生機構」なるものが設立される予定で、その準備チームがこのリストを作ったらしい。重大な問題なのでリストアップされた企業をすべて書き出すことにします。

『会議場・センター・その他』
1 稚内シーボートプラザ(稚内市)
2 盛岡中央市場冷蔵(盛岡市)
3 新銀行東京(東京都)→ 400億円の追加融資決定
4 横浜国際平和会議場(横浜市)
5 新潟空港ビルディング(新潟県)
6 浜松都市開発、フォルテ(浜松市)
7 山梨食肉流通センター(山梨県)
8 名古屋食肉市場(名古屋市)
9 丹後ちりめん、組合(京丹後市)
10 WTC(大阪市)→ 大問題なるも妙案はない。
11 ATC(大阪市)→ 上と同じ。
12 OCAT(大阪市)→ これも大赤字
13 林業公社(神戸市)→ これは市民をだました形になっている。
14 岡山県総合流通センター(岡山県)
15 倉敷ファッションセンター(岡山県)
16 愛媛県廃棄物処理せんたー(愛媛県)
17 福岡ソフトリサーチパーク(福岡市)
18 帆柱ケーブル(北九州市)
19 有田焼、組合(佐賀県有田町)
20 旭橋都市開発機構(那覇市)
21 泊ふ頭開発、とまりん(那覇市)
22 宮古島マリンターミナル(宮古島市)

『リゾート関係』
23 大鰐温泉スキー場(青森大鰐町)
24 盛岡地域地場産業振興センター、盛岡手づくり村(盛岡市)
25 いわきの里鬼が城(いわき市)
26 新潟ふるさと村(新潟市)
27 白樺ハイツ(富山市)
28 片山津温泉(加賀市)
29 フラワー・フルーツパーク社(浜松市)
30 シーサイドホテル舞子ビラ神戸(神戸市)
31 神戸市立フルーツ・フラワーパーク(神戸市)
32 倉敷チボリ公園(岡山県)
33 大分県高崎山管理公社(大分県)

→ まだあります。ただし、こちらはやむを得ない過疎地の公社が多いように思います。

『交通機関』
34 青い森鉄道(青森県)
35 むつ湾フェリー(青森県)
36 山形鉄道(山形県)
37 三陸鉄道(岩手県)
38 IGRいわて銀河鉄道(岩手県)
39 会津鉄道(福島県)
40 いすみ鉄道(千葉県)
41 佐渡汽船(新潟県)
42 松本電気鉄道(長野県)
43 福井鉄道(福井県)
44 天竜浜名湖鉄道(静岡県)
45 名古屋臨海高速鉄道(名古屋市)→都市部でも赤字なのは何かおかしい。
46 北近畿タンゴ鉄道(京都府)
47 海上アクセス(神戸市)→ 無駄な神戸空港をつくったばかりか、これと関空とを結ぶシャトルを運行している。全く馬鹿げている。
48 井原鉄道(岡山県)
49 土佐くろしお鉄道(高知県)
50 土佐電気鉄道・高知県交通(高知県)

※順序の並べ替えと番号および→以下は翔年が加筆しました。

 ざっとリストに目を通してみなさまはどんな感想をもたれたでしょうか。翔年は多くて書くのが大変でしたが、このリストを作った人は50社にしぼるのにずいぶん苦労されたと思います。地方自治体は実際こんなものでは留まらない惨状なのですから。(土地開発公社などがあるはず、垂れ流している赤字の金額が不明なのが不気味です)

 大阪人としてはワールドトレードセンター(WTC)とアジアトレードセンター(ATC)が一番心配です。既に特定団体債権検討委員会の中間報告で事実上の破産宣告を受けているのです。思えば20年前、この二つのビルを作るとき、関西財界は大阪市をけしかけてというか、市と組んでばら色の夢を関西地域にバラ撒いたのですが、今や財界人は知らんぷりを決め込んでいます。ハコ物を作ることで関西の企業はかなり懐が潤ったはずなのですが、今や市だけが悪者になっており、市民の税金を投入するしかない状況が来ることをじっと待っているように見えます。
 他の地方も大なり小なり事情は同じようなものなのでしょうか。

 地域力再生機構は第1号案件としてWTCを取りあげるでしょうから、市民はどのような処理がなされるのか、注視していなければなりません。
 また、また、第三セクターではダメだから、民営化すべき、そのためには赤字はとりあえず棚上げ、なんていう案が陸続と出てくるかも知れません。




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この記事へのコメント
奈良のO さま

いつまでも赤字を垂れ流しできないことは誰でも分かることです。
それを止めようとするのは、本来改革でもなんでもない当たり前のことですね。
個人で言えば経済的自立の第一歩のはずですのに・・・。
Posted by ユリウス at April 20, 2008 18:58
地方自治での垂れ流し防止は、上からの予算削減で解決するのかが疑問であり、これしか方法がないのかも疑問です。
府の予算削減で財政再建をめざす橋下知事は、「公務員の人件費は高すぎる。加えて人が多すぎる。」これに対して、具体的反論を発するならば市町長は我が行政に落ち度がない旨を伝えるべきであります。窓口にいる行政員は重度な労働と言えますが、窓際に近いものと均せば橋本知事の一言になるのではないかと行改の根本を市町長自ら努力してもらいたいです。市町の幹部や議員だけに支えられる長であってはならないことをよく噛みしめてもらいたいです。このまま行けば、知事の言うとおりになります。ならば苦しさに耐えられなく市町長をあっさり辞めますか、市町長は補助がありながらも累積赤字が続く垂れ流しを打開する改革をしなくてはならないことをご承知のようには思えません。
Posted by 奈良のO at April 19, 2008 00:01
奈良のOさま

>報酬の在り方を国民に提言できる政治家が与野党に係わらずいないのでしょうか。
そうですね、この現状を何とかしなくてはなりません。
1 そもそもこういうことになった原因は政官業の癒着です。改革とはまずこのトライアングルを断ち切ることだと思いますが、このことをやれる政治家は見当たりません。現状は昔にかえりつつあります。
2 第3セクターのような赤字垂れ流し企業は早く手を打たないと、ますますやっかいな問題となるでしょう。

利権構造にどっぷりつかった今の老人政治家ほど頼りにならないものはありません。老人政治家の天国ではいきいきと活性化した国作りは夢のまた夢になります。

総選挙後の政界再編を期待しています。理想を持ったリーダーの出現を待ちわびています。


Posted by ユリウス at March 29, 2008 23:32
暫定税率の一般財源化の話題に注目されてますが、地方自治体の重しは「ほっとけない!」。税金の喰い潰し、「もう少し在職すれば助かる」など、身体障害者の方々に申し訳ないと思う人達がいったいどのくらいいらっしゃるのでしょうか。「何とかしようがない」国民がこんなにいるんですね、というより組織存続が問題と思います。残念ながら、身近に「何とかしょう」が分からない馬鹿ものを抱えています。国力の原点、形式主義の世紀末に終わりを期待しています。
 一般財源化は、混乱を生じることになりましょう。この予測によって、底辺を支える人達が大手の奴隷になりつつあります。大手も形式主義の典型で
何ら「何とかしよう」の姿勢が崩れてきたように感じられる昨今です。報酬の在り方を国民に提言できる政治家が与野党に係わらずいないのでしょうか。
Posted by 奈良のO at March 29, 2008 22:35