September 18, 2007

イチロー語録

 最近のスポーツTV番組はどうしてこんなことになってしまったのか? 今夜の世界柔道大会では藤原紀香の斜めに構えた長い足が画面の目立つ位置にあった。先の世界陸上では、スポーツにおよそ縁のなさそうな若い女性が5,6人もでてきて、乏しい語彙力で何とか盛り上げようと、きゃあ、きゃあ騒いでいた。バレーボールの中継も似たり寄ったり。別に彼らに盛り上げて貰わなくとも、アスリート達の熱い戦いは、画面から十分伝わってくるのに。

 翔年はスポーツの醍醐味といおうか、アスリートの鍛えられた肉体と精神力のぶつかり合いを、画面で味わいたいと願って熱心に見ているが、これらのタレントは邪魔でしかない。折角のスポーツ番組をくだらなくするのはやめてほしい。スポーツの楽しみ方は色々あるのだから、若い女性の足や胸の魅力に頼らない番組作りも是非やっていただきたい。

 ちょっと古い本なので気が引けますが、ここにそういうTVスポーツ報道とは対極の本がある。是非、紹介したい。

 書名はデイヴィッド・シールズ編、永井淳/戸田裕之訳「イチローUSA語録」。マリナーズの本拠地シアトル在住の作家が丹念に拾い集めたイチロー語録。全てアメリカで英語で報道されたものであり、日本では報道されていないいい言葉も見つかります。(ご参考までに英語の原文をつけておきます)

イチローUSA語録
イチローは語っている。
「日本と違って、選手、とりわけキャッチャーは審判にクレームをつけたり、侮辱したりはしない。要するに彼らは日本流の抗議をしない。」
なぜメジャーリーグの審判に抗議をしないのかときかれて、
「いまのところ何の不満もないからです」

Ichiro said,"The plyers,especially the catchers,don't argue with the umpires or show any negative body language like they do in Japan. They just don't argue the way do in Japan." Asked why he hasn't gotten into arguments with major-league umpires, he said,"So far noting has bothered me."


 キャッチャーがきわどいコースのボール判定にいちいち審判の方を向いたり、ミットの位置を真ん中に持ってきたり、正式の抗議でもない侮辱の言葉を発したりしているのはよく見かける。スポーツ選手として美しくない動作ばかりだ。アメリカ人は、そういうレベルの日本人選手からはるかに高い位置にイチローはいると感じている。アメリカ人はイチローのそういう潔い精神性を感じて尊敬しているように感じる。


 イチローは記者にこう語った。
「野球では失敗が70パーセントにとどまれば、つまり10打数3安打なら成功だといわれています。ぼくはプレーを続けるうちは、その成功率を上げる方法を探すつもりです。10回のうち7回ピッチャーにしてやられたとしても、それは納得できます。しかし、自分のミスで凡退したのなら、まだ向上の余地があるわけです。このゲームは、毎日何かしら失望するようなことがあります・・・。一番大きな修正を必要としたのはピッチャーのテンポにどう合わせるかという問題でした。日本のピッチャーは『ワン・ツー・アンド・スリー』というテンポで投げてきますが、こっちでは『ワン・ツー・スリー』に近く、『アンド』がないんです。だから、そのテンポに会わせるために、自分のスイングから『アンド』を取り除く方法を見つけなくてはなりませんでした。そして、右足のステップの幅を変えることでそれを克服したんです。その修正だけで十分でした。
 ぼくが数字で満足することはありません。なぜなら、数字が内容を反映しているとは限らないからです。目標を設定して、そこに到達すれば、そこで満足してしまって先へ進む努力をしなくなるでしょう。毎打席、何かしら学ぶべきこと、改良すべきことがあります。満足は求めることの中にあるんです。」

Ichiro told a reporter. "They say you are succesful in baseball if you only 70 percent of the time, that going 3-for-10 is succesful. As long as I play, I will look for a way to improve on that. If a picher beats me 7 of 10 times, I can accept that. But if get myself out in some of those at-bats, that I can improve on. In this game, there's something every day you can be deisappiointed with.....
The biggest adjustment has been that in japan, the tempo of a picher was like 1-2-and-3. Here it's more 1-2-3, with no 'and', so I had to find the way to take the 'and' out of my swing to match that tempo. I did it by changing the stride with my front foot. It was enough.
I cannot be satisfied with a number, because it may not reflect how you did. If you set a goal, achiving it may satisfy you and you won't try to go beyond that goal. Every at-bat, there's sometiong to learn from, someting to improve. It's in the seeking that you find satisfaction."



満足は求めることの中にあるんです。」なんという哲学的響きをもった素晴らしい言葉でしょうか。スポーツマンでなくても、この言葉に共感する人はたくさんいると思います。

余談ながら、わが国にイチロー以上の言葉で語ることができる政治家は何人いるだろうか?



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この記事へのコメント
kompf さま

ファンでしたか。
彼はヒップ・ホップ・ミュージックの愛好者らしいですね。(アメリカの報道によると)

面白いのはイチロー特有のぶっきらぼうな言葉が、日本語から英語に訳される過程で、詩的な美しさや哲学的な響きを持ってしまうことです。
米国では傲岸不遜ととられていません。むしろ強い精神をもった男の禅語みたいなものと感じて、大げさに言えば、イチローの真意を必死になって理解しようとしているみたいです。

アメリカ人が喜んだインタビュー。
オークランドでファンの投げたコインが当たった後で、
「何かが空から落ちてきて僕にぶつかった。雨だったかお金だったかは分かりません」
「ビジターチームとして試合をするたびに、空から物が降ってきたものです。一度なんか神様にアルミ缶をぶつけられたことさえありました」

イチローのますますの活躍を祈っております。


Posted by ユリウス at September 20, 2007 10:45
オリックス時代からイチロー選手のファンです。
彼が活躍した日は、私も気分がいいくらいです(笑)。

彼の言葉は、実践が伴っているからとても強く感じるのだと思います。
政界にもイチロー選手のような人が現れてくれると良いのですが……。

イチロー選手はあまりリップサービスをしないし、勉強不足のインタビューには答えなかったり、捉えようによっては傲慢とも思える発言をしたりするので、記者の中にも良く思わない人が少なくないそうですが、バラエティ番組化するスポーツ報道と一線を画す(プレイそのもので沸かせる)イチローのような選手が、私は好きです。

それにしても、最近のスポーツ中継(特に世界レベルの大会)のバラエティ番組化には、ついていけません。
ユリウスさんのおっしゃるとおり、スポーツに過剰(無意味)な演出は必要ないと思います。
Posted by kompf at September 20, 2007 04:37