July 20, 2007

新潟中越沖地震と柏崎刈羽原発の安全性について−問題は耐震設計

 今回の地震の際、東京電力蠻雕蟯羽原子力発電所の被害や外部への放射能漏れや初期対応のまずさや貴重な地震計のデータ喪失などが毎日のように報道されている。翔年はこれらの報道はどれも貴重ではあるけれど、必ずしも「事の軽重に考えが及んでいない」ことを残念に思う。

 読者を不安にさせたり、会社の対応のまずさに怒りを誘ったりするのが、マスコミ報道の常道ですが、それに煽られてわぁわぁ言っておれない問題が原発の耐震設計の基本的考え方であります。

 原子力発電所の耐震設計の基本は、どんな地震が起ころうと
1 原子炉を安全に停止させる → 失敗すれば、メルトダウンに至る。
2 原子炉の熱を冷やす → 失敗すれば、放射能を環境にばら撒くおそれがある。
3 放射能を外へを漏らさない → 格納容器から外へ漏らせば、環境と子孫に取り返しのつかない損失をもたらす。 
 この三つがキチンと働くシステムでなければならないということ。

今回の地震で翔年がぎょっとしたのは次のことです。
 17日の読売新聞は「想定値大きく越す揺れ」として、水平方向に最大680ガル(加速度の単位)という原発で史上最高値を観測したと報じていた。その後、東電のHPでも発表されていますが、何の問題も感じていない書き振りです。(大問題にされたくないから?)その一部の数字を書き出して見ましょう。

 
観測された加速度値と設計値の比較(刈羽原発1号機のケース)
          
         南北方向   東西方向   上下方向(単位はガル)
観測値(A)      311    680    408
設計値(B)      274    273    235 
倍率(A/B)      1・13     2・49    1.74
 (参考)原発は水平方向120ガル、上下方向100ガルでシステムは自動停止するようになっている)

 専門家でもないど素人ですが、この数値は極めて問題であると思いました。一般に建物や機械などの工作物は、安全率を考えて作られていますから、設計値を超えた揺れがあったからといって、すぐに壊れるものではないと思います。さりながら、設計値の2・5倍の揺れがあったのですから、安全率が2・5以上でないと原発は耐えられないということなのです。この原発の安全率がいくらなのか、発表されていませんので分かりませんが、果たしていくらなのでしょう。ちょっと心配な数値ではあります。専門家の検証を待ちたいと思います。

 そもそも、原発は断層のあるところに立地しない。従って直下型地震を想定していないのです。それがあにはからんや、ありえない直下型地震が発生し、揺れも大変大きかった。それで公表されている数字から、ちょっと心配になる観点を書きました。今回の地震で最大の問題は原発の耐震設計の基本的考え方に疑義が生まれたことです。

 もう一つ、心配なことがあります。それは安倍政権の過剰反応です。(目先のことにキョロキョロ、右往左往しすぎる

 報道によると、溝手防災相を団長とする政府調査団26人を派遣したのに、その直後に首相と甘利経済産業相が被災地に向った。まだその上に、自民党の中川政調会長や公明党の太田代表も被災地入りしている。
 選挙で各地をウロウロと走り回っているからといって、国の運営をあずから要人が、一地方に集まり過ぎるのはいかがなものか?  どっしりとした肝の据わったところがない。この内閣の子供っぽさが気になる。

危機管理とは一つのことに目を奪われてはならないのである。危機管理組織は何が起ころうとも、常に正常な判断できる体制を維持しなければならないとするなら、政府の中枢にいる人物が大挙して被災地に集まるのは、危機管理の基本の欠如を意味する。






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