June 30, 2007

もの言う株主の負け −株主総会の顛末

 6月19日のエントリー、『議決権(委任状)争奪戦 −あっちでもこっちでも』で取り上げた経営陣と一部大株主(外資系ファンド、楽天、創業家など)との対決の行方を注目していましたが、新聞報道によると、大半の株主総会は経営陣が圧勝して幕を閉じた。

 株数の多さが議案の決定を左右するのだから、まさに金持ちが勝つ資本主義(資本民主主義?)なのだけど、今回の結果をみると資本の論理だけでない、何か日本人的な感情も動いたのではないかと思えるふしがある。

1 「モリテックス
 会社案の支持率は63.2%〜72.9%、IDECを中心とした役員選任(経営陣の入替)の株主提案は支持率は約46%で、現経営陣の優勢勝ち。

 ただし、これで決着したわけではなく、IDECは総会運営に不備があったとして、東京地裁に「株主総会決議の取り消し」を求めて提訴したと発表した。同時に決議で選任された取締役と監査役の職務執行停止をもとめる仮処分も同時に申請したという。

 不備が何を指すのか新聞報道では分からないが、多分、会社側が有効な議決権行使(総会出席、委任状送付)をする株主にQuoカード(500円)を進呈するという先の通知ではないかと思う。

 総会直前にモリテックスから翔年にも6月24日付けはがきが来た。それによると「IDEC株式会社に対し委任状を送付した株主」(いわば経営陣に敵対する意見の株主)にも、Qouカードを贈呈すると書いてあった。この一行は株主を公平に扱うということ、この一行が欠けるとQuoカードで株主から委任状を買った違法行為と判定される心配があるからであろう。

2 「企業買収防衛」
 ブルドックソースが会社案支持率(88.7%)で外資ファンドのスティールに、TBSが支持率(77.1%)で楽天に勝ち。

 これに関して、スティールがブルドックソースの買収防衛策の発動の差し止めを求めた仮処分申請には、東京地裁が「株主総会として、株主全体の利益保護の観点から(買収に対し)相当な対抗手段を採ることが許容される」とし、株主総会の判断を重視する決定を下した。司法が株主総会の判断に立ち入らない考えを示したもので、翔年は妥当な判断ではないかと思う。このような考え方が標準として受け入れられれば、突然のファンドの買収劇で大騒ぎするような馬鹿げた事態は改善されるに違いない。
 

3 「増配要求」
 外資系ファンドから増配の株主提案をされた中部電力、電源開発、江崎グリコ等ほとんどの会社は株主提案を否決した。(一般株主は外資嫌い?)
 株主が目先の利益(短期利益)よりも長期の利益を重視したという見方があるが、ファンドの提案直後に小幅な配当増額をした企業もあり、株主の声が経営に影響を与えていることは間違いない。

4 「創業家との争い」
 テン・アローズパトライトでは創業家側が社長を解任に追い込んだ。今期の株主総会で株主提案が可決されたのはこの二社だけ。やはり雇われ社長では資本の論理に対抗できないということか。
 ところが、突然の社長解任劇を市場はどう評価したかというと、テン・アローズの株価は710円と前日終値比53円安(−7%)、パトライトは958円、前日比14円安(-1.5%)と落ち込んだ。創業家の口出しを嫌ったのか、紛争を嫌ったのか、ともかく短期的にはマイナスの評価がでた。

 翔年はできるだけたくさんの一般人が株式を所有するのことが、企業にとって望ましい状況になる制度と環境を作り上げ、よりましな社会につなげたいと考えるものです。

例えば、こういう状況がどこでも見られる社会です。

委任状その株主は母の膝  佳汀

添え乳して午前十時の相場蘭  紫路





この記事へのトラックバックURL