June 19, 2007

議決権(委任状)争奪戦 −あっちでもこっちでも

 3月期決算起業の株主総会を控え、議決権(委任状)の激しい争奪戦が演じられている。翔年はゴミみたいな小さな投資家だけど、初めて『螢皀螢謄奪ス』(今期売上高165億円)という会社の委任状争奪戦渦中の株主として、貴重な経験をしたので、そのことを記します。

 モリテックスの個別事情を書く前に、世上、株主総会のための派手な委任状争奪戦をしている会社をリストアップしておこう。

1 ブルドックソースは米系ファンドにTOB(株式公開買い付け)を実施されている。会社側は新株予約権を利用した防衛策導入の可否を総会にかけるので、一般株主の支持を得なければならなくなっている。

2 TBS(東京放送)は19%の株式を持つ楽天が株式の買い増しを目指している他、社外取締役選任などの株主提案をしている。両者の戦いは法廷闘争やマスコミに対するアピール合戦など、我々の目に見える形で行われている。委任状をたくさん集めた方が第一ラウンドを制することになるので、両者とも必死の攻防戦。

3 中部電力と電源開発では、大株主の英系ファンドが「大幅増配」の株主提案をしている。


 さて、モリテックスですが、業務資本提携先のIDEC蠅噺飢馗垢覆匹梁膤主から、取締役8名の選任(役員の入替え)という株主提案をされて、慌てふためいている。「もの言う翔年」の立場は、どちらの側に付くというものではありませんし、まして「もの言う株主」になりたいわけでもありません。(金にもの言わす株主になれるわけありません)一株主として、当の会社が今まで以上に、経営効率を高め、利益を出し、将来にわたる経営方針を株主に理解されるよう説明責任をはたし、経営の透明性を高めてくれれば、結構と思っているだけです。
 ただ、こういう騒動に係わっていると、最新の株式会社の正しい知識を得られることになるので、興味をもってどういう結末になるのか見ていきたいと思っている。読者もおつき合いくだされば幸いです。


 両サイドからアプローチの経緯
1 モリテックスから通常の定時株主総会の案内状が来る。
→ 株主総会に出たいとも思わないし、普通は無視して、委任状も返送しない。

IDEC
2 今まで聞いたこともなかったIDECから、「議決権の代理行使の勧誘」の書類がどっさり送られてきた。
(同封されていた書類)
・株主の皆様にご記入いただきたい委任状(委任状の記入要領、返信用封筒つき)
・議決権の代理行使の勧誘に関する参考資料
・株主提案の諸経緯について(会社および大株主連名)
・モリテックス社株主の皆様へ(骨子説明資料)
・IDEC株主提案によるモリテックス社の企業価値向上について
・モリテックス/IDEC業績推移、経営指標の比較(データブック)
・IDEC会社概要
→ 相当なボリュームの資料に目をとおすと、「モリテックスは現経営陣にまかせるよりIDECに任せた方が起業価値が高まる」と書いてある。裏から読めば、企業乗っ取りのようなことかと思えるが、説明にそんな臭いは何処にもなかった。

3 今度はモリテックスから、「定時株主総会における株主提案に対する当社の考え方ならびに議決権の行使のお願いに関するお知らせ」とともに、今回の騒動の元になった事実がわかる資料が届いた。
(添付資料)
・IDEC蠅箸龍般劃鷏箸亡悗垢襪知らせ(2007/3/26)
・株主提案権の行使に関する書面の受領について(4/19)
・IDEC蠅箸龍般劃鷏抜靄楫戚鵑硫鮠辰砲弔い董4/23)
・当社定時株主における株主提案権の行使にたいする当社の考え方について(4/23)
・必要情報リストの送付及び株主提案撤回要請について(5/2)
→ 3月に業務提携して一ヶ月後に解消するというドタバタ劇。ここに至って、業務提携したばっかりのIDECがモリテックスの元会長と組んで全面的な経営参加を目論んでおり、モリテックスはそれを拒否していることが、ようやく理解できた。

4 次にIDECから「モリテックス社株主様向け説明会開催のご案内」がきた。会場は東京、名古屋、大阪の一流ホテルだった。
→ 翔年は都合が付かず欠席。

モリテック業務提携

5 更にモリテックスから、「新中期経営計画『Global 10』という冊子が送られてきた。これには新にドイツのSCHOTT社と業務提携をすることによって、大きな飛躍を図るとされていた。
→ IDECとの業務提携を解消するや、直ちにSCHOTT社と業務提携するなど、何だか慌てふためいているようにも感じる。そのほか、社員の96%がIDECの提案に反対しているとか、従来の顧客に迷惑をかけるとか、情にも訴えていて泣かせる。

6 昨日、IDECから電話による勧誘があった。
 → 翔年は全ての資料に目を通したが、どちらが株主にとって利益になるのかさっぱり分からない。それで2,3質問を試みた。
 分かったことは、IDECと連名で株主提案をしている森戸氏はモリテックスの元会長で、ビーズ事業への新規参入による失敗の責任をとって、昨年5月に退任していること。しかし、実質的な責任は、モリテックの現社長森田氏にあるということだった。
 このことに関して、モリテック側の資料では元会長に全面的に非があるようになっており、翔年はどちらの言い分が正しいのか判断できなかった。その旨、正直に述べて、今回はどちらにも加担しない中立の立場をハッキリ言ってお引取り願った。


 
 委任状を巡るこのような体験をしました。この両者の争いはまだ継続する可能性があると見て、今までの経緯をやや詳しく記しました。(展開如何によっては、またご報告します)

 冒頭にも書いたように、こういう事態がアチコチで起こっているのですね。通常、企業は株主に企業内の責任問題や重大なミスについて公表することはないので、株主総会前にあわただしく、会社の先行きについて資料を送付されても、実際のところよく分かりません。業務提携すれば業績が急に伸びると思うほど株主は甘くない。こういうゴタゴタを起こしている間は業績が向上するはずはないと株主は覚めた目で見ているだけ。

 守る企業も、攻める大株主も、ルールに従って堂々と渡り合って欲しい。その闘争から新たなアイデアが生まれ、企業価値が増大するような戦いがなされることを株主は望む他ありません。



この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
pro10s さま

長い間、わが国の株主総会は「しゃんしゃん大会」と言われて、会社提案をハイハイと追認する儀式のようなバカバカしいものでした。
株主総会は総会屋という暴力団が取り仕切っていたりして、形骸化がはなはだしかった。

今はご案内のとおり、もの言う株主がでてきて、議論がなされるようになりました。小生は透明性の高い会社経営は株主から意見が出されてはじめて可能になると思っています。
提案(正)に対する別の意見(反)が出され、議論の中からよりよい結論を導き出す(合)ことができるなら、大成功ですね。
そのためには、ゲームをするように、ルールにのっとって正々堂々と戦わなければなりませんね。(まだ、そこまで行っている総会は少ない。)
Posted by ユリウス at June 20, 2007 09:21
議決権争奪戦、大変興味深く読ませて戴きました。日本企業も米国と同じになったのですね。
二年前には米国囲碁協会でも同じようなことがありました。理事会が会長を首にして、新たな会長を立てたのですが、その首になった会長グループが理事選挙の議決権の争奪戦を繰り広げ、最終的には前会長を首にした理事達を追放し、新しい会長を選出しました。で、その前会長ですが、現在は理事長です。^^
今年のUS碁コングレス(全米囲碁大会)は7月28日から8月4日までペンシルベニア州で開催されます。
お会い出来るのを楽しみにしております。
Posted by pro10s at June 19, 2007 06:23