November 27, 2006

多の尊重

 昨日、ロシア大使の下のような宗教観を書いて同感の意を表したと思ったら、「梅原猛の授業、仏教」にも同様の趣旨の表現を見つけた。ちょっと長い文章で気が引けますが、大事なところなので、そのままの形で引用します。

ロシェコフ駐日ロシア大使:「イスラムのアフガニスタンにも勤務したが、私は地球を治めるのは一つの神様ではないように思う。キリストもアラーの神も仏も信じていいところがあるように感じる。ある日本の宗教指導者に信仰について話したとき、そんな気持ちを説明して、私はどちらかと言えば無神論者ですと言ったら、『大使こそ仏教徒だ!』といわれたよ。あっはっは。」

梅原猛著「梅原猛の授業、仏教」
梅原猛の授業 仏教

梅原猛:「(前略)それに対して、一神教のなかでもっとも先鋭な一神教であるイスラム教との衝突が第三次世界大戦を引き起こし、核戦争を誘発する恐れがあります。(中略)
 たしかにこの異母兄弟というべきキリスト教とイスラム教の対立の根は深く、これは千年の昔からづづいている業です。しかもその業の道をずっと進めば、人類は滅びてしまうかもしれない。それを避けるには、彼らが正義という思想の元にある自己の欲望を絶対化する思想を反省して、憎悪の根を絶たねばならない。この憎悪の根を絶つというのが仏教の思想です。仏教国日本は仏教の十二因縁の説で世界の和平運動の先頭に立つべきであると思います。
 もう一つ私のいいたいのは、多神論の復活です。神道も仏教も多神論です。勿論自分の信じる神や仏も大切にしますが、他人を信じる神や仏も大切にするという精神です。これは多の尊重という思想です。」

 梅原先生の言葉は、京都の洛南中学の生徒にたいして行われた授業なので非常に分かりやすくてありがたい。

 宗教界で大きな力をもっている一神教が、イラクやアフガニスタンをはじめ、世界のあちこちで頻発するテロを抑える思想にはなりえない以上、翔年は無神論者であるけれど、多神教を支持せざるをえなくなる。

 作家の塩野七生の「ローマ人の物語」ではギリシャ・ローマの神々の話が出てくる。一神教のユダヤ教とは度々トラブルを起こしている。多分、もう少し時代が進めば、ローマはキリスト教が国教になる。そして一神教がローマの歴史(精神と文化)をどのように変えていくか、塩野さんがどのように語ってくれるか、待ち遠しい。今までの語り口からして、彼女も多神教以外にこの混迷の現代社会を脱するすべがないと考えているような気がしてならない。



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