October 26, 2006

うっかり大半? 本当か?

 今朝の読売新聞の一面記事です。『申告漏れ4000人、200億円』、「うっかり大半」と言う見出し、記事の一部を引用します。

 「大阪国税局は近年、同調書(証券会社が税務当局へ提出する投資家の売却額を記録した「支払い調書」)などと申告状況を照らし合わせる方法で重点的に調査。(中略)延べ4000人の譲渡所得の申告漏れを指摘。」
「証券会社に源泉徴収されていると勘違いしたり、数年の取引のトータル赤字と判断したりして申告しない、初歩的ミスがほとんどだったという。同国税局は大半の個人投資家について無申告加算税や過少申告加算税を含め、追徴課税した。」

 記事を見る限り、納税を逃れていた投資家には、追徴課税がなされたようにみえるが、果たしてどうだろうか? 税務当局の発表したものを、そのまま記事にしたのではないかと思うが、無申告者にたいする考え方が非常に甘いと思う。当局は本当に厳正に処理したのであろうか?

 「うっかり大半」とか「低い納税意識(実は高い脱税意識)」とか「勘違い」とか初歩的ミスばかりで、投資家はすべて、善意で無垢な人間として報道されている。その上、加算税を課したのは「大半」であるそうだから、何らかの修正申告をして加算税を逃れた投資家もいるのだ。

 「うっかり」や「判断ミス」というが、「見つからなければいいや」という、税金逃れの横着を決め込んでいる投資家たちが大勢いるのが実態ではないかと思う。従来から、税務当局は「金持ちのうっかりミス」や政治家の「うっかり記載ミス」に対しては、修正申告を受け付けてまるく収めてきた経緯がある。うっかりではなく「故意」とか「虚偽記載」と解釈すればいいのだ。
 何故か金持ちと議員には極端に甘い



 翔年は思う。最近の法の適用は厳しくなる方向にあるのだ。

1 昨年、少年法を改正して、刑事罰対象を16歳から14歳に引き下げた。
→ まだ未熟な小年に対して刑事罰を課すようになったのに、何故、金持ちで、分けの分かっているズルイ大人に対して、重加算税をかけないのか? 何故、政治家の政治資金規正法違反の記載ミスはすぐ修正に応じるのか? 政治資金は無税あつかいだが、記載ミスをした(虚偽の記載)政治家の資金には課税することにしたらいいと思う。そうすれば、虚偽の記載をしておきながら、記載ミスという言い逃れをする議員は減るだろう。これらはすべて法の運用と「お金」で済むことばかりです。

2 組織暴力団にたいしては「下部組織の抗争も指揮監督が可能な使用者の立場にある」として、組長の使用者責任を認めた最高裁判決も出ている。
 これも、なかなかいい判決で、暴力団の内部ではパニックが起こっているという情報もある。
→ もし、「指揮監督が可能な使用者の立場にある」ものにまで、責任が問えるのなら、暴力団の組長だけでなく、今まで、秘書や会計責任者のせいにしていた国会議員や地方議員にも、その使用者責任を負わせることができるのではないか。

 こう見てくると、わが国の法律運用は、未熟な小年や暴力団には結構厳しいが、社会の上位階層の金持ちと議員に極端に甘いように感じるのだが、皆様はいかがお感じでしょうか?

 2009年度には、国民が法を身近に感じられ、司法に信頼がおけるようになるという狙いで、「裁判員制度」なるものが始まる。そんな大層な制度以前に、お金に関する上の2例をキチンと法律運用したら、国民はもっと法の有効性やありがたみを身近に感じて効果があると思うがどうだろう。





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