September 30, 2006

大誤訳? ヒット曲は泣いている??

 西山保著「大誤訳 ヒット曲は泣いている」を読んだ。ちょっと面白そうな書名にひかれて衝動買いした一冊。おもしろくて、少しは英語の勉強になれば儲けものという軽い気持ちで読み始めたら、これが結構面白かった。

 作者は文法的にみて、自信を持って誤訳だと解説しているが、翔年は詩の翻訳だから、必ずしも英語の文法に忠実な訳でなくってもいいのではと考える。が、それにしても度が過ぎてると思える日本語訳詩もある。あんまり受け売りにならないように、著者の試訳を翔年好みの訳に少し替えてお届けします。

 例えばよくご存知のサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」はどうでしょうか?

"The Sound Of Silence"
In restless dreams I walked alone
Narrow streets of cobblestone,
Neath the halo of a street lamp,
I turned my collar to the cold and damp
When my eyes were stabbed by the flash of a neon light
That split the night
And touched The Sound Of Silence.

(CDについている訳詞)
安らぎのなき夢をまどろみながら
玉石を敷きつめた狭い道を一人歩いた
街灯のほの明かりの下を
冷気と湿気に襟を立てて
ネオン・ライトの閃光が ぼくの眼を射るとき
夜は引き裂かれ ぼくは静寂の音に触れる

著者は構文の理解に問題があるいう。具体的には、I turned my collar 以下の文は上の文とは独立していると指摘している。著者のいうように文法に即して訳すとこんな具合になる。

(試訳)
不安な夢見ごこちでぼくは
玉砂利の狭い通りを
街灯の明かりの輪の中を 一人歩いていた
そして寒さと湿気にたいして襟を立てた
その時ぼくの眼にはネオンの閃光が突きささり
それは夜の闇を引き裂き
沈黙の音に触れた
※沈黙の音=これは矛盾語で、難しくてよく分かりません。次の節で Peaple talking without speaking, Peaple without listening とあるので、声は出してもそれが心に通じなければ、その音は沈黙と同じだと言うのでしょうね。多分。



 もっとハッキリした誤訳の例です。これは翔年も分かりました。マライア・キャリーのドリーム・ラバーをどうぞ。

Dreamlover
I want a lover who knows me
Who understands how I feel inside
someone to comfort and hold me
Through the long lonely night
Till the dawn
Why don't you take me away

(CDの訳)
誰より私をわかってて
秘めた想いも察してくれる
夢見心地に抱きしめて
長く寂しい夜があけるまで
ああ、でもダメよ つれていかないで

 最後のフレーズがひどいです。Why don't you 〜? は誘いの慣用句ですから、Whay don't you take me away は、「連れてって!」のはず。それを「つれていかないで」と訳す必然性はないように思いますが、みなさんはどう思います?

(試訳)
わたしのことをよく知って
わたしの心を察してくれる
恋人がほしい
長く寂しい夜を
夜明けまでずっと
慰め抱きしめてくれる人が
ね、私をつれてってよ


 著者は文法に厳しい眼を注いで、24曲のポップスの歌詞の誤訳を次々に指摘してくれます。翔年は、うろ覚えの歌詞(ムチャクチャ)がはっきりしたのと、著者の指摘にもとずいて、歌詞を文法どおりに解釈しようとしたので、ちょっと英語の勉強になりました。
 
 そのほか、有名な歌手ではホイットニー・ヒュ−ストン、マドンナ、シンディ・ローパー、セリーヌ・ディオンなどの歌う歌詞もやり玉に上がっていました。


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