July 30, 2006

土潤いて暑し

 早朝テニスにもかかわらず、昨日も今日も、ものすごく暑かった。コートを借りている時間を15分も余して試合が終わったら、今日はもうテニスを続けようとする仲間が誰もいなかった。こんなことは珍しいが、それほど暑かったということ。

 暦ではちょうど今頃の時期、7月28日から8月2日ごろを「土潤(ウルオ)いて暑し」というそうだ。土がじっとりして蒸し暑くなる時節なんだ。中国では「土潤溽暑」と書くとはじめて知った。広辞苑で調べると、溽暑は「ジョクショ」と読み、非常に蒸し暑いことと書いてあった。

 やけくそに、翔年が知る限りの暑い句を書き出してみた。ちょっと狂ってる句もあるようですが、暑さに免じてご容赦を。

炎帝に組み伏せられているごとし     谷 雅子
※炎帝=火を司る神
→近づかれただけでも暑いのに、組み敷かれたらもう・・・。

カンナ   photo by 青木繁伸氏の「植物園」

カンナ

あらあらとカンナの真昼逢ひに行く 野木桃花


暑さぼけいやはんぼけぞ茶漬食ふ     草間時彦
→暑さで食の細る人は多い。生きるためにはそれでも喰わねばならぬ。

両の眼の玉は飴玉盛夏過ぐ      三橋敏雄


血を喀いて眼玉の乾く油照り     村山古郷
女盛りといふ語かなしや油照り     桂信子
※油照り=むしむしして、あぶら汗がでてくる天気

木の枝の瓦にさはる暑さかな     芥川龍之介
→芥川の神経の過敏さ。焼けた瓦の熱を感じますね。

ぬけうらを抜けうらをゆく日傘かな 久保田万太郎 
→袖なしブラウスか浴衣姿か?


きんたまの置所なき暑さ哉     眉山
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき     桂信子
→いやはや、男も女も、たまりませんなぁ

日盛りに蝶の触れ合う音すなり     松瀬青々
蝶歩く百日草の花の上      高野素十
→夏蝶も暑くて飛べない?


金粉をこぼして火蛾やすさまじき      松本たかし
火に飽きしときは死ぬとき火取り虫     石戸良和
我が胸に悪魔棲みをり火取虫       鈴木真砂女
酌婦来る火取虫より汚きが      高浜虚子
※火取虫、火蛾=火を奪わんとするように、飛び入って死ぬ灯に集る蛾。
→色欲、貪欲のいましめと見る見方もある。醜い蛾もいるが、驚くほど美しい蛾もいる。


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