刑事裁判に一般国民が参加することになる「裁判員制度」へ関心を強めていたら、今朝の読売新聞で、こんな記事を見かけた。(関心を持っていたら、情報は向こうから、眼に飛び込んでくるというが、本当だ)
「法務省は26日、法制審議会(法相の諮問機関)に、犯罪者を社会の中で更正させるため、社会奉仕命令を刑罰として科す制度の導入などについて諮問した。」内容はこんなものだという。
1 犯罪者を刑務所に入れずに、ゴミ拾いや介護などの社会奉仕活動を刑罰として科す。
2 仮釈放された受刑者の居住地を指定し、刑務官の監視の下に学校や職場に通うことを義務づける。
発想の出どころが、刑務所の「過剰収容」解消にあるのは気に喰わないが、制度としては十分検討に値すると信じる。特に1については欧米ではずっと昔からこの制度があるのだが、わが国にはそういう発想は乏しいから、余り紹介されていない。
罰金、禁錮、懲役、死刑など刑罰にはいろいろある。死刑のA級戦犯は「絞首刑」だったと聞いているし、最近は「電気椅子」が普通らしい。また、ある国では注射で死なせてくれるそうだから、病院で管をいっぱいつながれた末に殺されるより、刑務所の方がよっぽど人道的だ。尊厳死を望んでいる翔年にとっては、そんな刑務所は魅力的?に見える。
世界中で死刑廃止論があるように、時代とともに刑の残酷さがだんだん減ってきているのは喜ばしい。残酷でなくなったというだけでなく、諸外国の事例にあるように、もっとイキな、しゃれた刑罰もあってよいと思うので、我が法務省は「ゴミひろいの刑」も結構だけれど、以下の事例を参考にして、世界に誇れる刑罰を考えていただくよう熱望する。
それでは、塩田丸男氏の随筆から、とっておきの粋な事例を二つばかり紹介しましょう。
1 ニューヨークで二つの超高層ビルの間にロープを渡して綱渡りした男が道路交通法違反で逮捕された。
刑罰:「サーカスの刑」=日曜日にセントラル・パークで子供達に無料で綱渡りを見せてやれ。
2 1976年、ロンドンで63歳の女性ピアニストが出来心で万引きした。こちらは窃盗罪ですね。被害額はわずか16ポンド。
刑罰:「ピアノ演奏の刑」=老人ホームを歴訪して、孤独な老人たちを慰めるために無償でピアノ演奏をしなさい。その時間が合計100時間に達するまで。
いずれも実刑であるところがすばらしい。今の裁判は長引く上に、刑罰にはすぐに執行猶予がつく。犬のしつけでは悪いことをしたら、すぐに叱るというのが基本中の基本である。人間は賢いのだから犬とは違うと執行猶予をつけても、何もいいことはない。