June 06, 2006

続・村上ファンドと東京地検特捜部の戦い

 6月3日のエントリーで村上ファンドの先行きを予想した。外れたのは村上代表がインサイダー容疑を簡単に認めたこと、これは意外だったが、これによって地検特捜部は思い描いた疑惑の立件が出来る可能性が高まった。
 当たったことは、ニッポン放送の株式購入は村上代表からライブドア側に持ちかけたことと阪急のTOBのおかげで、村上ファンドは資金的窮状から救われるということの二つだった。

 このエントリーでは、村上世彰という人物と株式市場の健全性についてもの申したい。
 村上氏は当初容疑は否認し、潔白を主張していた。それが、4日容疑を認める調書にサインしたばかりか、5日には記者会見を開いて「自白」した。記者会見のなかで「もうけようと思って買ったのではない」という発言があるが、一日前までは「投資家のために一円でも多く儲けることが務め」と言っていた彼の言葉とも思えない。罪を軽くするために、自分はライブドアの資金力からみて大量取得は無理と見ていたといいたいのだろうが、「一円でも多く」のポリシーに背く発言をするところを見ると、すでに彼は正常な判断が出来る状態ではないようだ。記者会見では潔く罪を認めたように演出したが、そんな人格者には見えない。ただ、彼のように「企業に資本の有効活用を強く求める」人物がいなくなることが、わが国の企業経営者のぬるま湯体質を助長しないかという心配は残る。銀行、生保、放送などのマスコミ、運輸、建設などの業界は、グローバルな観点から言えば、ついこの間まで、非効率経営でわが国産業界のアキレス腱だったことを忘れてはならない。

 さて、証券市場の方では、以前から指摘している5%以上の株式購入の報告時期など、機関投資家に甘すぎる規制が問題であることは明らか。公正で透明性を高める制度を出来るだけ早く作るべきだ。ウオールストリートでは、村上ファンドの事件を「司法当局には公平な取り扱いが求められる。もし、不正な行為があったら恣意的にでなく、機械的に処分しなければならない。」というような正鵠を得た論評が出ている。海外では当たり前のことだけれど、わが国ではこういう線に沿った意見が乏しい。法の前において誰もが平等であるという大原則を忘れて、いい社会が実現できるはずがない。(現在の司法当局は恣意的である)

 翔年は、株式では大株主は透明性が確保できているのであるから、同じように、全てのファンドの大口出資者が分かるようにしたら済む話と思う。ところが、大金持ちは自分の名前が出ることを極端に嫌うし、透明性を高めたら資金が集まらないのだそうだ。透明性を高めたら困るのは、今「透明性を高めろ」と声高に叫んでいる政治家や財界人かも知れない。経済の活性化のために少しはグレーの部分が必要という議論もあるのは承知しているが、翔年の好みではない。

 われわれ国民の年金や厚生年金基金は今話題の会社でも、大株主であることを四季報(春号)の数字で確認しておきましょう。株主の利益になることを考えよ、資本の有効活用を図れよと言う人は、我々のために必要なのです。株主の利益になるような経営をしていたら、経営者はあれほど村上氏を恐れることはなかったのです。

阪急ホールディングスの大株主
 第一位 日本トラスティ信託口(4・2%)
 第二位 日本マスター信託口(2.3%)

阪神電気鉄道の大株主
 第五位 日本トラスティ信託口(2.5%)
 第七位 日本マスター信託口(1.9%)


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この記事へのコメント
磯田昇(桂木俊介)さま

いつも暖かいコメントをいただきありがとうございます。
村上世彰氏の違法性は司直によって厳正に罰してもらいましょう。
ただ、ご指摘のとおり、体制内にいて、不透明さをいいことにして、株主の利益を損なうばかりか、ユーザーに対して真実を隠蔽したり、市場に虚偽の報告をしたりしている腐った指導層は一体どうすればいいのでしょうか?
自浄作用が期待できない以上、透明性を高めて、外部から監視し、ものを言い続ける「もの言う株主」は必要と信じます。
村上は檻のそとの「暴れ虎」だったかもしれませんが、企業の中の「ずる賢い狐」も何とかする必要があります。
松阪屋の茶村社長は以前こんなコメントをしています。「村上ファンドがインパクトになり、経営改革の速度があがった。」
Posted by ユリウス at June 07, 2006 11:12
翔年 さま
ご無沙汰しています。お元気で相変わらずのご健筆を楽しく読ませて頂いています。
ご指摘の通り、ライブドア・村上ファンドなどの違法性は兎も角、ぬるま湯体質の立法・司法・行政府を始め、日本企業に大きな影響を与えたことは事実でしょう。
端的に言うならば、「経営とは何をすることか」を弁えた経営者が残念ながら我が国には少ないことも事実でしょう。自社株を買い占められてから慌てふためき、その異常性をマスコミなどに訴える・・・そんな方法しか考えられないのかと寂しくもなりますよね。

カネボウ・ソゴー更には建築・電力・銀行などなどの多くの業界・企業の体質が一向に変わらない、圧巻はずっと放置していた三菱自動車がその典型ですね
真面目に働いている人達が報われない社会構造なんでしょうね、キット
そんな事実や場面を今は学生達に語りかけています・・・ (6/6)
磯田昇(桂木俊介)
Posted by 磯田昇(桂木俊介) at June 06, 2006 23:29