May 15, 2006

語源の快楽(10) 「お茶」の周辺あれこれ

 5月9日と12日に「お茶」について書いた。ちょっと書き過ぎたかなと思わないでもなかったが、テニス仲間のA氏からも、囲碁仲間のS氏からもご挨拶があったし、神戸のYさんからはメールで下のようなご質問をいただいた。このような読者の熱意に応えて、もう一回だけ、「お茶」について書きます。

「茶のことで今ひとつお聴きしますが、”お茶の子さいさい”(たやすいこと)とは
どこから来ているのでしょうね。教えてください。
お茶の子さいさいでしょう!」
 
 ちょっと挑発的な感じがしますが、まぁいいでしょう。
お茶の子」とは昔、茶道にあって、「喫茶・お茶」の時に食べた「菓子」のこと。昔は中国語の「点心」に仮名を振って、「ちゃのこ」と読ませたりしていました。腹にたまらない軽いものから転じて、ごく些細なこと、小事を意味するようになったらしい。「朝飯前」と同じ意味です。
後ろに付いている「さいさい」は、こまごましたという意味の「細細」かも知れませんし、はやし言葉かも知れませんが、よく分かりません。
この関連語では、朝、茶を飲む前にとる少量の食物のことを「朝茶の子(アサジャノコ)」というそうです。

 さて、「乳繰りあう」が「茶」の関連語だといったら、ちょっと意外でしょうか。意味は「男女が密会して戯れあうことをいう」でしたね。日本語には当て字が多い。これも例に漏れません。本来は「ちゃちゃくる」と言っていましたが、イチャイチャするんやったら、これがええんちゃうと、誰かが「乳」を当てたらしい。これが大当たり。「ええやん、ええやん」、「ええ、ええ」という声が大きくなって、「乳繰りあう」が定着したようですが、本来、乳房とは関係ないんです。
 ちなみに、これを博多地方では「ててくりあう」と言うそうです。むしろ、こっちに「手手繰りあう」と当てた方がいいですか?

 ここから先、臍が茶を沸している位置から三寸下がります。お嫌でなかったら、「続きを読む」をクリックしてください。


 「茶柱」は茶(女陰)の中でたつと目出度いということから、男根の異称となってます。

 そうそう、「お茶挽き」や「おちゃっぴい」を書いたからには、そのお茶を挽く道具の「茶臼」に触れないわけにはいきません。つぎの江戸川柳をじっくり鑑賞ください。

茶臼=お茶を挽くための石臼
茶臼

茶臼とは虚言白酒臼のよふ    江戸川柳

最小限の単語説明にとどめます。
茶臼=騎乗位。往々にして、脛管液が充溢して滴り、陰嚢や大腿までも濡れる。
白酒=濃厚な白色の酒。甘味豊かで一種独特の香気がある。


最後に一発。
 翔年は「牛のおいど」を自慢したいために、これを書いたのではありません。「語源海」やことばの達人たちのエッセイなどで教わったことを、忘れないために、ここに書きとどめたまでです。


牛=モー
おいど=尻
牛+の+おいど=モー+の+尻=もの知り

この記事へのコメント
世界に一つ様
 
はじめまして!
訪ねて下さってありがとうございます。

「タフラー」も「鼻コチ」も知りませんでした。
タフラーは最近はタオルマフラーのことらしいですね。

何時ごろ、どこの地方で使われているのでしょう?
いずれにしても、使われる時代と場所で、少しずつ変遷していく言葉って面白いです。
Posted by ユリウス at February 06, 2009 09:45
珍しい語源ありがとうございました。
おいどの意味を知りたく訪問させていただきました。
お礼に下記の言葉を残して帰ります。
1・タフラー = テーブル(BとFの発音間違いから生まれたそうです)
2・鼻コチ  = 湯呑  (お茶を頂くとき鼻に当たる事から生まれたそうです)

Posted by 世界に一つ at February 06, 2009 07:28