March 17, 2006

大衆が資本家 −大株主は年金基金−

 昨日(16日)の日経朝刊に、こんな見出しがありました。大見出しは「公的年金運用益最高に」、中見出し「2005年度見通し 4-12月7兆円超」でした。
 そして、リードで『株価の上昇を追い風に、公的年金の一部を運用する年金資金運用基金の2005年度の運用益(時価ベース)が過去最高を更新する見通しだ。同基金が15日に発表した運用実績によると、05年4-12月の運用益は7兆4300億円。過去最高だった03年度一年間の4兆7200億円を上回る』と事実を報じています。

 つまり、われわれの年金資金が、この2年間で12兆円も膨らんだということなのです。株を売っていないのですから、利益の確定ではありませんから、稼いだという表現は適当でないとしても、含み益が大幅増になったことは確かです。お金がお金を生んだのです。ひところ流行った言い方だと「額に汗しないで儲けた」のです。

 一昔前のことになりますが、バブルがはじけて以後、株式は暴落に継ぐ暴落でした。年金基金がその時株式を買おうとしたら、新聞記事はこう書いていました。「株価の下支えに年金基金を利用するのか、ケシカランことだ」とか、「年金基金を不安定極まりない株で運用するのはケシカラン」とどの新聞もこぞって書き立てました。記者はいわゆる正義の味方になったふりして書いているわけですが、結果は上の記事が報じるとおりです。(安い所で買った株は大抵儲かる)

 このように、新聞記者は目先のそれも一面しか見えていないことが多い。何ごとにせよ、ものごとには両面があるのですから、冷静な見方が常に求められるわけですが、これがなかなか難しい。新聞の論調に応じて、あの後、年金の株式運用比率を、あわてて下げたりしていました。もしもあの時、運用比率を上げていたら、20兆円を越える益を出したに違いありません。

 大変皮肉なことですが、額に汗しない人が群がっていると思われている株式市場は、実はそういう非難をしている人たちが受け取る、企業年金や厚生年金の資金がいっぱい入っていることを知らねばなりません。

 代表的な企業のNTTとソニーに、どの程度、この種の資金が入っているか見ましょう。

NTTの大株主の保有率はこうです。(以下会社四季報によります)
1 財務大臣        33.7%
2 自己株         12.1
3 日本トラスティ信託口   4.2
4 日本マスター信託口    3.0

ソニーの大株主
3 日本トラスティ信託口   3.7%
4 日本マスター信託口    2.9

 我国の代表的な大会社の二社とも3番目と4番目の大株主は、実は我々なんです。ですから、こういう立派な会社が、シッカリした世界戦力に基づいて、シッカリ稼いでくれなければなりません。それを世界中の投資家が評価して、この会社の株を買ってくれないと、我々の年金基金は縮んでしまうのです。昔は資本家のものであった大企業は、年金基金と投資信託の所有者として、文字通りわれわれが会社所有者となっているのですね。大衆資本主義と呼ばれるのも、むべなるかなです。

ライブドア


 ところで、こんな悲しい事例もあります。
ライブドアの大株主
1 堀江貴文容疑者      17.2%
2 フジテレビ        12.7   → USENへ
4 日本マスター信託口     3.3
8 日本トラスティ信託口    1.0

 我々は4番目と8番目の大株主でした。フジテレビは350億円の損害を被ってますが、我々も100億ぐらい、あるいはもっと損害を被ったかもしれません。

 ついでにちょっと脱線して、これに関するドジな経営者をご紹介します。
 フジテレビの会長殿は、ライブドアの事件発覚直後に、自分が第二位の大株主であることを忘れて、売れない約束になっているのに「ライブドア株を売る」とか、ホリエモンが起訴されてもいない段階で、「損害賠償請求する」とかのコメントを出して、ライブドアの株価を下げることにご熱心でした。大株主の態度とは思えませんね。一月以上かけてライブドアの資産査定をし、第二位の大株主の地位に上り、業務提携までしているグループの責任者としては如何なものかと翔年は感じましたがね。本日、株はUSENに譲渡されることになり、会長は「責任を感じない」とのコメントを出しています。
 
閑話休題。
 経済のド素人ではありますが、ものには二面があり、必ずしも新聞記事が正しいとも言えず、長期の視点でよくよく見れば、むしろ反対の行動を取った方がいいこともあるのではないかと、愚考する次第であります。



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