January 29, 2006

リヒトホーフェン姉妹(1)

 読書の楽しみの一つに、著者の生き方に共感したり、尊敬の念が生じたりして、本との出会いに感謝することがよくありますが、同じように本に書かれた人物に強く惹きつけられることがあります。翔年にとって、19世紀の終わりごろに生を受けたリヒトホーフェン姉妹もそういった人物です。何ごとかを成し遂げた人として、偉人伝に残されているわけではありませんが、マックス・ウェーバーとD・H・ロレンスの恋人であったとしてよく知られています。が、翔年はなによりも、姉妹が生き生きとそれぞれの生を生きたその姿勢にうたれました

 姉のエルゼは「人生のセームスケール」のここに、妹のフリーダはここにかなり詳しくまとめられていますので、生い立ちを繰返すことは避けて、翔年は彼女たちの人間関係にスポットをあてて見たいと思います。(他の登場人物についても、「人生のセームスケール」にリンクを貼らせていただいておりますので、必要な方はご覧下さい)

リヒトホーフェン姉妹1

1 エルゼ(左)とフリーダ(右)です。二人とも美人で知的レベルも当時の女性として最高でした。
拡大してご覧下さい。異論は出ないと思います。

ウイークリとヤッヘ

2 姉のエルゼが結婚したのは28歳の時、相手はエドガー・ヤッフェ(右、ドイツの経済学者)、妹のフリーダは結婚は17歳(20才説あり)で、相手は15歳年上のアーネスト・ウイークリー(左、イギリスの言語学者)です。申し分ないカップルに見えますが、幸福な結婚ではなかったようです。



ウェバーとロレンス

3 エルゼの恋人のマックス・ウエーバー(左)とフリーダーの恋人、D・H・ロレンス(右)です。

 書こうとしている人間関係が相当複雑になるので、まず最初に6人の関係を写真を見ながら整理しておきましょう。そうしないとわけが分からなくなるのです。

 山折哲雄先生に教えられた見方がありますので、まず、ようく写真をご覧下さい。
姉妹は甲乙つけがたい美人ですね。

 結婚の相手の男はどうです? まず、・ヤッフェとウイークリーがなんだか雰囲気が似ているように感じませんか。山折先生の表現を借りると「左右にきれいに分けられた頭髪、端正な目鼻立ち、きれいに剃りあげられた白い肌、とりわけくっきりと見開かれた両眼の静けさなどが、ひそかに抑制された人間のたたずまいを照らし出している。」

 つぎにウエーバーとロレンスを見るとこれまた、二人の顔の表情が驚くほどよく似ていませんか? 先生の表現ではこうなっています。
 「ちょっと斜めに身構えた二人の顔は、前方を鋭くみつめているが、ともに頬から下顎にかけての部分と鼻下に、黒々と密生する髭を貯えていた。鼻梁が大きく突きでていて、頬骨が張っている。その表情の全体はいかにも野性的であった。猛禽類を思わせるように鋭く前方を凝視する眼光には寧猛な輝きが走っていた。そこには「女」を奪ったものの微動だにしない髭面の顔が、あたかも双生児のように・・・・。」

 これでとりあえず6人の紹介は終りました。エルゼとフリーダ姉妹は、この後、オットーという男とのややこしい関係(四角関係?)を経て、ウエーバーとロレンスにたどり着きます。いや、たどり着いたと言えば語弊があるかも・・、その後があるからです。

 山折哲雄先生は「愛と悲劇の人間模様」と書いておられますが、翔年にはそれほど悲劇的に感じられず、むしろ、自分の人生を切り開いて思うまま生きた見本のように見えます。

 次回はもう一人、オットーという男をご紹介します。

※このエントリーは主にマーティン・グリーン著 塚本明子訳「リヒトホーフェン姉妹」と山折哲雄著「愛欲の精神史」を参考にしています。





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