December 15, 2005

山は環境浄化装置です

 環境浄化装置(=山)の雑木が隣接の植林の上に被さって迷惑をかけているということで、50年以上経っている雑木(ナラ、山ざくら、クヌギ等の大木)の伐採作業を森林組合に秋口に依頼していた。今日はその最終日。後々、のこともあるので午後から現地確認に行った。

山は環境浄化装置
環境浄化装置=山 
 境界の目印に昔の人達が残していた境界の目印の雑木が、50年以上放置している間に大木に育っていた。現地にはそのナラや山桜の巨木が切り倒されて無惨な姿で横たわっていた。雑木は木材としての価値はないので、この場所で朽ちるまで放置することにしている。

左、伐採作業 右、無惨に切り倒された楢
伐採作業無惨な楢木
 
 直径が70〜80Cmもあり、何かに使う工夫が望まれるがその知恵がない、金も時間もない。使いたい方がいらっしゃったら、無料で差し上げます、と知り合いに声をかけているが、今の所、欲しいという方はいらっしゃらない。雑木は30本以上あるが、木は生まれたところで朽ちて次の若木の肥やしになって貰うしかありません。(もし、読者で何かに使いたいという方がいらっしゃいましたらお知らせください。便宜をおはかりします)


 山は木が生えてさえいれば、炭酸ガスを吸収して酸素を放出する。雨がふれば木の葉や根が一旦水分をとどめ置いて、下流が洪水になるのを防いでくれる。さらにその水分は地表を流れるだけでなく、地下に浸透して浄化された地下水脈を作るいわば大規模な環境浄化装置です。小学校で学びました。その上、いのししや鹿や野ウサギ等の生息地でもあり、烏やサギや小鳥たちのサンクチュアリでもあります。勿論、彼らが食べる木の実や昆虫や野鼠なども住んでいるはずです。(実は鹿が増えて農業者は困っていますが)

 翔年はこの大環境浄化装置(=山)の所有者です。山の手入れはしませんが、森林組合にも所属(組合費を払って林業家と呼ばれている)していますし、勿論、固定資産税や地元の区費(面積に応じて)など、応分の負担もキチンと払っています。今回の伐採費用は20万円をはるかに越えました。
 この山からの収入は何年経とうと皆無ですから、浄化装置の運転経費は全額持ち出しです。

 森林法にもとずく
(1)税の軽減(林業施業計画にもとずいて伐採した時、所得税や法人税の特別控除)
(2)補助金の優遇(森林施業計画にもとずいて造林した場合、補助金)
(3)融資(林業育英資金、造林資金など)
のような制度があるのは知っています。計画のない林業計画をでっちあげれば、多分、役所の書類審査は通りそうな気がしますが、まだ確めておりません。

 それより何より、時代が変わり、木の良さより、プラスチックの手軽さの方を消費者が好むのだから、林業が事業として成り立たなくなっています。プラスチックは環境への負荷が大きくて、廃棄物処理に大きなお金が要ります。木材は燃やせば灰になって自然に返せるので環境への負荷はそんなに大きくないはずですが、一般的な利便性とコストには勝てません。

 有毒ガスを排出する車をつくる自動車産業や廃棄物処理が大変なプラスチックをつくる業界は栄え、山や田んばのような自然浄化装置産業は大赤字です。環境税なる構想はありますが、産業界の競争力がどうたらこうたらとか、税金の二重払いは嫌だとか、業界の次元の低い目先の理屈では環境問題の解決は難しい。難しいというより、ほぼ絶望的です。

 このまま時代が進みますと、林業家は「山を国に返し始める」ことになるかも知れません。(現物納税)そうなれば国は固定資産税が入ってこないのは勿論、それよりもなによりも山(=環境浄化装置)の運営費にたちどころに困るのでしょう。


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