December 12, 2005

遺伝子指紋鑑定の威力 -小鳥も困惑

 碁友のTさんから、「『カチンと来る! 奥田会長のその言い方』は我意を得たけど、最近まじめなの話題が多く下ネタが少ないね」とやんわり苦情を聞かされた。
 
 それで話題がすぐに落せるほど起用じゃない。今日は遺伝子の研究の中から生まれて、犯罪の科学捜査に大変役立っている「遺伝子指紋鑑定」の話です。翔年は専門家ではないので詳しい説明はできませんが、要するにだれもが一連の黒い縞模様として表されるバーコードとよく似た、固有の「遺伝子指紋」を持っていると信じてください。

「ゲノムが語る23の物語」 マット・リドレー著、中村桂子、斎藤隆央訳
ゲノムが語る23の物語

← 遺伝子の詳しいことが知りたい方はどうかこの本をお読みください。

 この遺伝子指紋鑑定の威力は大変なものです。身体の組織のサンプル、例えば鼻水や唾、髪の毛、死後かなり経った遺体の骨でも、ほんの少しあればそれで十分なのです。
 大きな社会的な事件としては、アメリカではクリントン元大統領がモニカ・ルインスキーのドレスに付着していた精液で黒とされ「不適切な関係」を認めざるを得なくなりましたし、我国では北朝鮮が横田めぐみさんの骨だと主張するのを偽物であると鑑定したのもこの「遺伝子指紋」の技術でした。この技術を使うと脅すだけで犯罪者はうろたえるようになったと言われています。


 ところがこの技術がかわいい小鳥たちに適用されて、小鳥のメスたちが困惑しているのをご存じでしょうか?

 ツグミやコマドリやウグイスのさえずりに心和ませる人は多い。小さくて見た目もかわいくて、さえずりは何とも楽しげで、小鳥のようになりたいという歌もあります。

美しく生まれ拙く囀れり      安富風生

 なかのよい夫婦を「オシドリ夫婦」と呼ぶように、これらの小鳥たちは極めて単婚性の高い−つまり一羽のオスと一羽のメスが互いに忠実に助け合って雛を育てるような−鳥たちであると、人間たちは今まで信じてきました。
 
 ところが遺伝子指紋法による父子鑑定を小鳥たちの世界に無粋な学者たちが持ち込みました。その結果、鳥でも表向きの「配偶者」とは違う近隣の雄とも交尾している雌がかなりいる事実が発覚したのです。父鳥のDNAを持たない雛が巣の中に育っているのですから、不適切な関係があった証拠は隠し様がありません。この調査で、不倫は鳥の世界でも予想以上に多いとやっと分かったのですが、こっそりやられているのであまり気づかれてなかったのではないか、というのが翔年の解釈です。

 昔、小鳥が囀るのは主としてパートナーを惹きつけるためだと教科書で学びました。でも、つがいになった後も、さえずり続けることに疑問をもつ先生はいなかったのですね。遺伝子指紋鑑定のおかげで、「既に配偶者がいても」なお懸命にさえずる理由がハッキリしたのです。彼らは「浮気」の相手を探していたのです。



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