October 07, 2005

イランと我国との石油共同開発に暗雲

 我国の国際石油開発(本社・東京)がイランとの間で、昨年2月に契約したイラン・アザデガン油田開発が、いろいろの情報をつなぎ合わせると危ない。翔年は気になって仕方がないが、新聞は何故か報道しない。

 この問題は安全保障とエネルギー確保が絡んでおり、国で言うと日本、イラン、アメリカ、中国が絡んで複雑怪奇、とても翔年の手に負える問題ではありませんが、何が、どうなっていて、何を心配しているのかを、読者のみなさまに訴えたいと思います。

1 アザデガン油田開発
 2004/2月に国際石油開発(株)がイランと契約し、我国がイランの石油開発に参加できるようになった。
 第一段階(6年半):投資額は10億ドル(1100億円)、契約発効(2004/03)後、3年4カ月以内に日量五万バレルを試験生産し、その1年後以内に十五万バレルに生産量を上げる。
 第二段階(6年): 投資額は10億ドル(1100億円)、(最大生産量は二十六万バレルの予定。
 現在は第一段階が契約されて、地質調査と試掘がはじめられている。

2 イランの核開発疑惑とアメリカの態度
 イランは核開発で強行姿勢をとっており、それに対してアメリカは経済制裁を辞さない態度で臨んでいる。それを可能にするために国連安全保障理事会に付託すると思われます。

3 中国政府のずる賢い動き 今や中国はエネルギーの確保に躍起となっている。そのやり方は金に糸目はつけない、国際紛争も辞さない、国際信義にもとる行為も平気でする、というようになりふりをかまっていません。その中国がイランに取り入って、アザデガン油田を狙いははじめています。← 第二段階の横取りを狙っているみたい。

 昨年11月、中国の李肇星外相がテヘランを訪れ、「米国が(経済制裁が可能になる)国連安全保障理事会へ付託するように動くなら、中国は拒否権を発動することを検討する」とイラン側に囁いた。

 同じ頃、イランのザンガネ石油相は「日本は歴史的経緯から、わが国最大のエネルギー輸出国となってきた。だが、その地位を日本から中国に変えたい」(チャイナ・ビジネス・ウイークリー誌)と表明している。 ← これは我国との交渉を有利に展開するための方便かもしれませんが、米国との関係を考えると、案外本音かも知れません。
 また、イランの態度次第ではアメリカは我国にイランに投資をするなと言ってくる事態もありえます。

 中国はあれやこれやイランとの経済関係を強化しており、最近では、カスピ海油田とイランを結ぶパイプラインの建設も現在交渉中だという。昨年10月に着工されたカザフスタンと中国間のパイプラインと将来、結合させようという大構想もあるという。

4 最近の国際石油開発の動向
 同社は昨年10月、テヘランに事務所を開き、プラント建設の地質調査などにあたっている。
地質構造の鑑定に携わった専門家は「イラン側の要請かもしれないが、油田全体のデータは教えてもらえなかった。異例なことだ」と話した。
情報は厳しく統制されているらしく、先行きの暗雲を予想させます。

5 日本政府は何をしている? 何をするべき?
 こういう国際関係のハザマで、石油開発のような国策とも言うべき大問題を、一民間企業に任せておくだけでいいはずがないと思いますが、みなさんはどうお考えですか?


その後の中国の動きを追加します。
本日(7日)の日経の記事です。
『エクアドル油田も買収−中国国有石油2社』
 「中国の国有石油大手2社、中国石油天然気象団(CNPC)と中国石油化学工業団(シノペック)は共同でカナダ゙の石油会社エンカナが保有する南米エクアドルの油田権益を買収することを決めた。買収額は14億2000万ドル(約1570億円)」
 8月下旬にCNPCがカザフスタンのペトロカザフスタンを41億8000万ドルで買収したばっかりですから、中国の海外油田権益の買収が加速していることが目に見える形になてきました。
 
 中国のこういう動きを観察していると、東シナ海の油田についても、よほどの覚悟を持って交渉しないと、中国にすきなようにやられる恐れがあります。




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