March 01, 2005

指揮監督が可能な使用者の立場

1 政府は凶悪犯罪の低年齢化に対処するため、14歳未満でも少年院に送致することができるように少年院法の改正を今国会中に成立を目指すという。法が成立すれば、十四歳未満が法に触れる行為をした場合、警察が補導し、児童相談所に通告、重大なら家庭裁判所の裁判で、児童自立支援施設への送致などが決ることになる。
 少年法の改正は刑事罰対象年齢を十六歳から十四歳に引き下げた2000年以来のこと。

2 読売新聞によると『全国最大の暴力団山口組が暴力団抗争に絡んでトップの使用者責任を初めて認めた昨年11月の最高裁判決後、渡辺芳則組長(64)と組運営の距離を保つため「組織改編」を進めていることが1日、大阪府警の調べでわかった』そうだ。裁判所と警察の連係プレーで、一時は渡辺組長の「引退」も発表されるなど浮足立つ内情が表面化しているという。
 この騒動の発端となったのは、山口組系3次団体の組員に射殺された京都府警警部の遺族に対し、一昨年10月、2審・大阪高裁が「下部組織の抗争も指揮監督が可能な使用者の立場にある」として、渡辺組長らに約8000万円の損害賠償を命じ、昨年11月に最高裁でこの判決が確定したからだ。

 この報道は市民としてうれしい。特に直接手を下していない組織のトップ(組長)に対して、「下部組織の抗争も指揮監督が可能な使用者の立場にある」として有罪にしていることがうれしい。

 法の罰を厳しくすれば、何でもうまくいく訳ではないが、最近の立法府や司法は罪を犯したものにはそれなりに厳しくという立場をとっているようだ。

 それならば、翔年は声を大にして申したい。
橋本派の政治資金規正法違反事件は何故会計責任者と会長代理が起訴されて、会長である橋本元総理や派閥の事務を総括する立場にあった野中元幹事長は何故起訴されないのか? 司法は立法府の権力者に甘すぎるのではないか? 

 橋本元総理や野中元幹事長は「指揮監督が可能な使用者の立場にある」にピッタリ該当している。司法が暴力団組長に対するのと同じように、法の厳正な適用をすれば、政治家と金の問題は今よりも数段よくなると信ずる。派閥の幹部が浮足立つ内情が表面化するならこれほどうれしいことはない。



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