Asahi.comより
『細田官房長官は27日の記者会見で、女性の皇位継承を認めるかどうかなどを検討するため、小泉首相の私的諮問機関として「皇室典範に関する有識者会議」を設置すると発表した。緒方貞子国際協力機構理事長や佐々木毅東大学長、園部逸夫・元最高裁判事ら10人で構成。来年1月に初会合を開き、秋ごろに報告書をまとめる。』
翔年は二つのことについて異議ありです。
1 ものには順序というものがある。まず、大きい枠組を決めてから、細部を決めるのが手順というもの。
最近は政府も自民党も野党も憲法論議をし始めている。我国の根幹を根本から議論するわけだから、大変結構な事だと思う。 翔年はこの議論に出来るだけ多くの若い人たちが参加してくれるよう願っている。
さて、今回の有識者会議は取りあえず現憲法において女性の皇位継承を認めるかをどうかを検討するのだが、憲法の天皇制を議論しようとするより一足先に、女性天皇の議論を始めるのは如何なものか。翔年は女性天皇に反対するものではない。しかし、天皇制は若い人も含めて十分議論した方がいいと思っている。そういう立場からみると、議論が逆立ちする。政府の今回の処置は女性天皇の是非を議論し、女性天皇を承認することで、天皇制論議は済んだことにする政治的意図があるのではないか。憲法上の天皇制議論は避けたいのではないかと疑う。
2 新聞報道もネットの報道も年齢が伏せられているので、翔年はあちこちから調べてきました。まず有識者会議のメンバーと年齢と肩書を確認しましょう。
岩男寿美子(69) 武蔵工大教授
緒方貞子(77) 国際協力機構理事長
奥田碩(72) 日本経団連会長
久保正彰(70才以上?) 東大名誉教授
佐々木毅(62) 東大学長
笹山晴夫(?若くはない) 東大名誉教授
佐藤幸治(67) 京大名誉教授
園部逸夫(75) 元最高裁判事
古川貞二郎(70) 前官房副長官
吉川弘之(71) 産業技術総合研究所理事長
(久保正彰氏と笹山晴夫氏の年齢は分りませんが、そうお若い方とも思えません。)
メンバーの最高齢は緒方貞子氏の77歳、最年少は佐々木毅氏で62歳です。会議のメンバーは有識者とおよびするのに何の問題もない方ばかりです。ただ、翔年はメンバーの年齢がえらく高い上に年齢層に偏りがあることに疑問を呈したい。年を重ねているからどうこういうのではなくて、これから我国の天皇について議論するのに、戦後生まれは佐々木氏お一人だけで、後は天皇は現人神であるという戦前教育を受け、そういう社会に育ってこられた方々ばかりであっていいのかな? と素朴な疑問が湧いてきます。
折角の議論の機会が戦前教育を受けた方々ばかりで議論され、現状の追認と女性天皇の承認がなされ、そういうことを通じて天皇制の議論の流れが作られてしまうのはやはり問題と思う。せめて戦後教育を受けた方などもう少し若い年齢層も参加させることをどうして小泉首相は考えないのでしょう?
憲法論議の1から初めて、その後で1の論議をふまえつつ、有識者会議で2を論ずるのが手順というものでしょう。