エジャさんと「政治論」をやっていて、現政権を支えているからくりの一つ、「一票の格差」にふれましたので、改めてこの問題について翔年の積年の思いを語りたい。
三見優一(サンミユウイチ)さんという方がいらっしゃる。
昭和37年に日本で初めて議員定数配分の違憲訴訟をたった一人で起され、以後40年以上にわたって「一票の価値」の重みを最高裁判所に訴えつづけてこられた方だ。著書に「最高裁を信じて四十年」、2000/10 飛翔社刊がある。
読めば誰でも感銘を受けるはずだ。一人で時間かけ、お金を投じてこの問題に取組んでこられた三見氏には本当に頭が下がる。
「点滴、巌をも穿つ」というが、ようやく硬い巌に穴が開こうとしている。最近は一票の格差是正問題に取組む団体や集いがあちこちに生まれ活動を始めているし、最高裁判所の姿勢も大分いい方向に変化していることが確認できる。もう一息の所まできているように思えるが、最高裁判所の壁はとてつもなく厚くて固いから油断がならない。翔年はこの課題に取組んでいる三見さんをはじめ、全ての人を応援をしたい気持で一杯である。
ここで参議院議員の一人当たりの有権者数より、「現状の一票の格差」がどのくらいあるのか確認しておこう
東京都選挙区:1,216,607人
島根県選挙区 : 242,448人
一票の格差= 5.02倍 !
程度の差こそあれ、同じような違憲状態が多くの選挙区である。
これだけの格差が生じていても、憲法14条一項に『すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、又は社会的関係において、差別されない』と書いてあっても、最高裁判所の判断は合憲なのである。
法衣を着て、神妙な顔つきで、おごそかに
『1=5 である。』
と告げられたら、純真な小学生は「おっちゃん、アホちゃうか」と即座に返すことだろう。
この違憲状態を知りながら、何ら改善の手を打つことなく、次の参議院議員選挙は行われようとしている。
衆議院はどうかというと、平成8年に選挙制度が改正されたにもかかわらず、1=2 を温存したのです。この差は拡大する傾向にある。翔年に言わせれば最高裁判所が正しい判断をしないから、立法府の議員たちがこのような成立の当初から違憲である法律を成立させる事態に至るのです。5年に一回の国勢調査は何のためにあるのかと言いたい。
三見さんの著書で教わったのだがアメリカ合衆国の憲法ではこのように明記されている。
『下院議員の数及び直接税の徴収額は、この連邦に加わる各州に、それぞれ人口に応じて割当られる。』
そして明記している事項を厳密に実行しているから、見上げたものです。
米国の人口調査局の資料によると理論値である理想有権者と実際の有権者との差が全選挙区のうち二区を除く423区で1%以下に収めているのです。残りの二区も差は上下1.2%以内というから驚です。実際に人口移動の激しい時期には例えばフロリダは15議席が一挙に19議席に増えたり、ニューヨーク州では39議席が34議席になったことがあるそうですから、憲法に書かれたことが忠実に行われていると見ていいでしょう。